研究課題/領域番号 |
20H04442
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
宮林 茂幸 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (90120138)
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研究分担者 |
平野 悠一郎 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00516338)
入江 彰昭 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (50299939)
下嶋 聖 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (60439883)
田中 伸彦 東海大学, 観光学部, 教授 (70353761)
町田 怜子 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (90724675)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 森林サービス産業 / 別荘地 / 観光イノベーション / 地域コミュニティ |
研究実績の概要 |
本研究が目指す観光施設の遊休化等の負の経済効果から観光評価に至る研究は少ない。本調査研究では、「別荘等の空家化や管理放棄などの社会問題を負の経済効果の視点から評価し、地域再生へとつながる観光イノベーション手法とは何か」という学術的問に接近することを主目的としている。 2021年度の調査研究では、コロナ禍の中、別荘開発の先進事例地である軽井沢地域(長野県中軽井沢町、群馬県長野原町・嬬恋村)と別荘開発を地域計画として位置付けている長野県長和町の4地域を対象とした。その結果、①別荘利用における開発規模と立地条件による利用形態の相違が顕著であること。②地域住民と別荘利用者とのコミュニティ形成の相違と課題。③地域の土地利用や防災などとの関連で、森林法、自然公園法、景観法など法規制の課題 ④地域の産業(農業や林業)と別荘利用者の消費動向における関連性 ⑤トレイルやキャンプ場の整備と地域の施設利用(林道や作業道あるいは国有林や民有林)に関する課題 ⑥観光地の範囲や利用地番など所有や地形などに関する課題などが明らかになった。また、農山村の観光資源の遊休化問題が放置すると、下流の平地農村や 市街地の自然・社会に、水源管理や生態系保全、国土管理や防災などの点で、大きな影響を及ぼす可能性が想定されることが明らかになった。得られた結果を基に、①観光地とは。どのような範囲で、必要条件はなにか(観光情報論)。②観光開発における地域資源管理のあり方(観光管理論)。③観光開発における法規制と地元とのあり方(観光法規) ④観光開発と地域コミュニティ形成のあり方 (観光コミュニティ論)④観光開発と景観管理について(観光景観論)⑤観光開発と地場産業のあり方(観光サービス産業論)などについて、森林学会等で報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究分担者に専門学識経験者をふまえたオンラインによる研究会を鋭意開催し、7回のディスカッションを重ねた。その結果2021年度は調査対象地を20年度と同様の地域と新たに長野県長和町地域を加えて、課題に接近することとした。その結果、前年度課題の整理を含めて地祇のような結果概要を得た。一つは、ニューノーマル時代における観光資本の新たな動向である。二つには、管理運営については、市町村など地元自治体との関係が深くかかわっていること。三つには、利用の2極化は、さらに施設の維持管理や地域のインフラ整備に関連して課題があること。四つには、開発・管理において、森林法、自然公園法、景観法など法規制に関する課題があること。五つには、観光開発には地域のコミュニティ形成との課題があること。などの課題が明らかになった。こうした課題は、農山村の観光開発を超えた地域づくりとしての新たな課題として提起される。 得られた結果を基に、①観光地とは。どのような範囲で、必要条件はなにか(観光情報論)。②観光開発における地域資源管理のあり方(観光管理論)。③観光開発における法規制と地元とのあり方(観光法規) ④観光開発と地域コミュニティ形成のあり方 (観光コミュニティ論)④観光開発と景観管理について(観光景観論)⑤観光開発と地場産業のあり方(観光サービス産業論)などについてまとめる。農林業を基幹産業としてきた農山村において、観光開発を地域の多様な資源利用と有機的に結びつけたサービス産業として発展する方向について、今後の課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
4地域の実態調査を実施し、①観光不動産の開発動向並びに経済発展との関連分析と、別荘等の地域別特性の抽出および開発過程の類型化・問題点の抽出(令和2年度の結果をさらに進化させる)。 ② 観光不動産の管理・運営に関わる地域問題の整理と解決手法の検討(2021年度実施)。③①と②の成果を用い、立地条件の悪い農山村に帰属する特性を確認し、観光不動産の開発 手法、利用と管理の関係などの観点から、その法則性の類型化・問題点の抽出を行う(2021年度に検討・2022年度にまとめる)。④地図情報や景観情報を活用して、適正な観光不動産開発並びに開発利用における法則的条件の整理(2021年度検討・2022年度とりまとめ)。を進める。それらを総合して2022年度の最終年度は、適正な観光地として発展するための課題を整理し、農山村における観光イノベーションとしての観光開発と観光不動産施設の管理・運営の方向について提案する。2022年度は、前年度の結果を踏まえて研究対象地域(青梅地区と中部地区)を加え、次のような研究調査を実施する。①観光地(別荘地)の概念規定について、自然的・社会的パラダイムと開発条件について ②観光開発と土地管理や環境保全における法規制について ③別荘地における文化形成(古くの山荘文化と里山文化)とニューノーマルにおける地域コミュニティ形成について ④地場産業と観光開発の課題(サービス産業化)などについて、北軽井沢地域や東京都青梅地域と長野県長和町について現地調査を行う。また、成果を日本森林学会、日本観光学会、林業経済学会、日本レジャー・レクリエーション学会などで発表する。
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