研究課題
次世スピン偏極電流をスピン偏極した電荷集団励起(プラズモン)として直接観測するとともに、重い電子系など強相関電子系の特徴的な物性の起源である磁気励起や電荷励起を、スピン方向と波数を分解して原子軌道を選択的に直接観測することを目的として、スピン分解共鳴電子エネルギー損失分光法(SR-rEELS)を開発を行い、前年度までに初期段階の開発は終了した。その結果として、新たな克服すべき課題が見つかったため、本年度は、以下の点について解決を進めた。 まず、現在の非弾性電子スペクトルのエネルギー分解能はバルク敏感な1.5 keVの入射電子線で約150 meVであるが、弾性散乱の裾が約500 meVまで広がっており、500meV以下の素励起であるプラズモン・フォノン・マグノンの観測が難しい状況にある。そこで、弾性散乱ピークの影響を150 meV程度まで抑制するため、エネルギー分解能を50 meVに上げる計画を進めた。具体的には、入射電子線にエネルギー分散をつけて分解能を向上させるための電子分光器を設計した。この開発は、研究費がつき次第おこなう予定である。さらに、電子スピンを任意の方向に偏極させるためのスピンローテーターを開発し、実装に向けてのテストを行った。さらに、今回SR-rEELSを開発したことで、新たな可能性を発見した。その1つが時間分解SR-rEELS(tSR-rEELS)への展開であり、パルスレーザー光源によってフォトカソードを励起し、光路長30m程度の時間遅延をつけた光励起と同期させることで可能であることがわかった。そこで、この遅延光学系の設計と試作を行い、実働可能であることがわかった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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