研究課題
植物体内の元素の動きをイメージングし、その輸送メカニズムを解明することで、新しい作物の創出や栽培技術の革新を可能にしてきた。植物体内の無機元素のほとんどはイオンの形態で存在するため、蛍光物質ではなく放射性同位元素(RI)によるイメージングが適している。しかし、現状では同時に撮像可能な元素種が限られているため、多様な元素の輸送動態、特にそれらの拮抗作用の解析は困難である。そこで、β-崩壊核種トレーサを撮像可能なライブオートラジオグラフィーを開発し、生きたままの植物体内で追跡可能な元素の種類を増やすとともに、既存のガンマカメラやコンプトンカメラを改良し、複数RIの同時撮像が可能なイメージング技術を開発する。本研究では、多様な元素の動態を同時に解析する実験手法を体系化し、複数元素が複雑に絡み合う輸送メカニズムを解明することで、農業の現場が抱える具体的な課題の解決法を導き出す。複数元素動態の同時撮像に向けて、植物実験で必須となる高温多湿環境下でも安定して計測できることを想定したコンプトンカメラ開発を進めた。検出したコンプトンイベントを画像化するソフトウェアについては、定量性重視のアルゴリズムを採用した。Na-22, K-43を用いた植物実験を行った。なお、K-43は新学術領域研究「短寿命RI供給プラットフォーム」からの供給を受けた。ライブオートラジオグラフィーの実現に向けて、暗箱と高感度CCDカメラを組み込んだイメージング装置を開発し、Fe-59を対象とした植物実験を行った。
2: おおむね順調に進展している
実際に開発したイメージング技術を活用した植物実験を実施することができている。
植物RIイメージング実験を進める
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
New Phytologist
巻: 232 ページ: 1974-1984
10.1111/nph.17726