研究課題/領域番号 |
20H04467
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
渡辺 俊 筑波大学, システム情報系, 教授 (60212320)
|
研究分担者 |
長坂 一郎 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (10314501)
大崎 純 京都大学, 工学研究科, 教授 (40176855)
藤井 晴行 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (50313341)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | デザイン科学 / 創造性 / ラウンドテーブル / 探索 / 評価 / 表現 / 記述 |
研究実績の概要 |
研究代表者および研究分担者それぞれによる創造性の論理的・ 技術的探求に基づき、建築情報学会にてラウンドテーブルを企画し、これまでの研究成果について議論した。 まず、建築情報学に関わる研究の流れを概観し、デザインのためのメディアとしての情報技術の展開を総括した。これを「人間の拡張がメディアの本質である」との知見から見た時、情報技術は、記憶力・思考力を拡張するメディアとして進化してきたものの、創造力を拡張するメディアには至っていないことを指摘するとともに、創造性を育むためのデザイン思考はプロセス論に留まっていて、いかにして社会が求めるイノベーションを生み出すかが問われていることを確認した。そこで、渡辺は“探索”という視点から、デザインにおける網羅的な可能性を検討するための探索技術について、ル・コルビュジエのモデュロール羽目板パズルを全探索した事例を示すとともに、無限の可能性のさらに外側にある創造的な飛躍の事例を紹介した。大崎は“評価”という視点から、単純作業の効率化や発想の支援を行う上で数理的手法の利用が不可欠なことを解説する一方で、安易にツールを使う危険性を指摘するとともに、機械学習や強化学習による構造最適化について骨組みのブレース配置を事例に紹介した。藤井は“表現”という視点から、論理的飛躍を形式表現するという矛盾を認識した上で、我々が記号として扱える部分は自覚的に経験している一部分であり、規定された手続きからでも価値のあるものが生まれる可能性に言及するとともに、デザインスペースから別のデザインスペースへの飛躍が鍵となることを指摘した。長坂は“記述”という視点から、デザイン思考の中心にあるユーザーの使用に言及し、人工物の使用の定式化として証明的意味論の立場から表出条件と調和条件について解説するとともに、使用の観察としてフローズンエフェクトに関する心理学の実験を紹介した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、予定していた創造性を探究するワークショップを延期せざるを得なくなった。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの検討の成果に基づき、夏までに創造性を探究するワークショップを開催する。
|