研究課題/領域番号 |
20H04468
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
田口 純子 名城大学, 都市情報学部, 助教 (50759488)
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研究分担者 |
林 憲吾 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (60548288)
西村 武司 山陽学園大学, 地域マネジメント学部, 准教授 (80574029)
熊澤 輝一 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 准教授 (90464239)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ゲーミフィケーション / ゲーム / 建築教育 / 情報デザイン / PBL |
研究実績の概要 |
子どもや若者のネット、ゲーム、バーチャルへの強い関心は、精神的依存や健康阻害要因として問題視されることもあるが、肯定的に捉えられることで社会や他者との接点にもなり得る。本研究では、子どもや若者のネット、ゲーム、バーチャルへの関心を社会と結びつける実践的研究として、失われつつある地域の資源を身近なテクノロジーを使って再生するプロジェクト型学習(PBL)を開発する。 令和2年度は、ものづくりオンラインゲームの「マインクラフト」を用いて高校生が地域のシンボルとなる建物や街並みを再現・復元するPBLを対象に、その評価と理論研究を実施した。参加者へのアンケート調査やインタビュー調査の分析を通して、ゲームに対する関心と地域に対する関心をそれぞれにもつ若者と大人が出会い協働することのできる場の設計論を、ゲーミフィケーションの視点からまとめた。この過程で、持続可能性に関する学術領域におけるゲーミフィケーションの論じられ方の類型を熊澤がまとめ、日本シミュレーション&ゲーミング学会2020年度秋期全国大会で発表した。 また、ゲームが実社会の行動や持続可能性に関する意識に及ぼす影響を分析するため、稲作シミュレーションゲームの「天穂のサクナヒメ」のユーザーにオンラインアンケート調査を実施し、ユーザーによる生産者への感謝や米消費行動に対する意識の変化を確認した。 さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により繰越事業となったが、岐阜県郡上市石徹白地区において、地域で失われつつある民具を再生するプロジェクトを立ち上げた。準備段階として下見調査と現地団体との関係づくりを行い、次年度以降のPBLの開発・評価につなげていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度はオンラインアンケート調査や理論研究を進められたものの、実際の地域と連携したPBLの開発については、協力機関との協議の結果、新型コロナウイルス感染症の影響により成果取りまとめに不可欠な地域調査が困難と判断した。そのため、やむを得ず事業を繰越した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、岐阜県郡上市石徹白地区の下見調査や現地団体との関係づくりをもとに、地域住民へのヒアリングを中心とした基礎調査を実施するとともに、石徹白地区の民具の再生プロセスに沿ってPBLを開発・評価する。 特に、本研究では、身近なテクノロジーを使って再生された「モノ」をきっかけに、語りや対話が生まれ、多元的な「コト」を含んだ動的な「モノ」を生成していく対話型の情報デザインが望まれる。石徹白地区でのPBLの開発・評価を通して、対話型の情報デザインを実践するとともに、過年度にまとめてきた、異なる関心を持つ多世代の人々が出会い協働することのできる場の設計論への示唆を得る。
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