研究課題/領域番号 |
20H04469
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福島 秀哉 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (30588314)
|
研究分担者 |
二井 昭佳 国士舘大学, 理工学部, 教授 (40459011)
岡村 健太郎 近畿大学, 建築学部, 講師 (50737088)
星野 裕司 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 准教授 (70315290)
三浦 詩乃 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任助教 (00772922)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 復興事業 / 土木デザイン / 地域再生 / デザイン論 |
研究実績の概要 |
復興事業の歴史的変遷の概要の整理において、復興まちづくりが本格化した阪神淡路大震災以降の復興事業を対象としていた当初の予定より歴史的対象を広げ、明治三陸津波復興,昭和三陸津波復興における中央政府の関与の確認や、「復旧」「復興」等の用法の整理をおこない、復興の概念の変化に関する議論を深めた。また1960-2010年代における各時代の社会的要請に着目した土木デザイン分野への社会的要請と発展経緯の整理としては、研究代表者、分担者の既往の成果を取りまとめ整理した上で、東日本大震災、熊本地震等の地震被害にとどまらず、近年多発する豪雨災害や洪水等への対応など最新の災害事例を含めた事例調査とレビューをおこなった。復興事業過程の各段階で求められる取り組みの整理については、現地調査やヒアリング調査を予定していたが、COVID-19感染拡大防止に向けた対応等から出張が困難となり,文献調査を中心とした成果となったため、次年度現地調査やヒアリング調査をおこなう予定である。その代わり先行して次年度に予定していた復興デザインの海外先進事例の分析と課題整理に着手し、ニュージーランド、ニューヨークのRebulid by Design、北カンタベリー地震からのクライストチャーチ、エイボン川流域の復興等のレビューをおこない、復興プロセスの共通性と差異について整理をはじめた。今後はレビューの範囲を広げ、海外事例と比較した日本における復興事業の制度的課題の特徴と課題を整理する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度はCOVID-19感染拡大防止対策の影響により、現地調査、ヒアリング調査が当初予定通りに進まなかったが、文献調査、オンライン会議等により下記の実績を得た。本研究において、手法導入を検討しているプレイスメイキング、タクティカルアーバニズム等の「動的デザイン手法」に関しては、当初は文献調査および専門家のヒアリングのみを想定していたが、「動的デザイン」の概念の複層性、手法のアップデートの迅速性をふまえると、実用可能性の高い成果構築のためには継続的かつ詳細の関連事例分析が求められるため、専門家をメンバーとして追加し、次年度に予定していた海外事例調査を先行して進めることとした。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き状況をみて現地調査を試みながら、オンラインの併用した議論や海外インタビュー等を進めていく予定である。次年度の予定は以下の通り。各地域の復興事業過程とデザイン手法の関係整理では、各地域の取り組みにおけるデザイン技術の特徴を抽出し、クラスター分析等を用いて特徴の近い事例群に分類する。さらに各事例群の各段階で実施された取り組み(住民参画・組織づくり等を含む)の傾向・実態・課題を明らかにする。特に他地区にはない事業化後の住民参画を行った大槌町や野田村、デザイン会議の長期継続と質の高い公共空間整備を実現した女川町、行政と住民をつなぐ継続的な大学支援を試みている益城町など、特徴的な取り組みに着目する。復興デザインの海外先進事例との比較では、引き続き海外事例に関する文献調査、関係者ヒアリングを行い、海外事例と比較した日本における復興事業の制度的課題の特徴と課題を整理する。また動的デザイン手法導入に向けた調査・分析(福島、星野):復興事業における公共事業とその前後の取り組みの連関を促進するため、プレイスメイキング、タクティカルアーバニズム等の動的デザイン手法に関する文献調査、専門家へのヒアリング調査を行う。復興事業過程の制度上の改善を含めフレームワークの理論的補強を行った上で、復興事業過程を考慮した取り組み連関型の復興デザイン手法の提案を進めていく予定である。また取りまとめに向けたフレームワークとして、復興の概念(意味論)、復興における公と私(制度・政策論)、復興デザインのヴィジョンと方法(計画・デザイン論)等の軸を設定している。
|