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2022 年度 実績報告書

介護支援技術の評価法の開発および技術開発・導入上の要件整理

研究課題

研究課題/領域番号 20H04470
研究機関東京工業大学

研究代表者

杉原 太郎  東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (50401948)

研究分担者 大島 千佳  佐賀大学, 理工学部, 客員研究員 (10395147)
中山 功一  佐賀大学, 理工学部, 准教授 (50418498)
桑原 教彰  京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 教授 (60395168)
中川 威  国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 老年学・社会科学研究センター, 主任研究員 (60636942)
塩瀬 隆之  京都大学, 総合博物館, 准教授 (90332759)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード支援技術 / 高齢者介護 / 関係性良化
研究実績の概要

杉原は,前年度に収集した回想支援技術の利用者インタビューを介護職員と介護施設利用者の関係性に着目して帰納的に分析した.その後分析結果が,広範に利用されてきた技術受容モデルに組み込んだ指標とできるか可能性を示した.同時に,介護記録をテキスト分析し,入居者の状況把握が支援できるシステムを開発し,実地で評価をした.定量的調査では効果が認められなかった一方で,定性的調査の結果からは介護職員が施設利用者にまつわる記録を扱う際に重視している点が抽出できた.
中山と大島は,カメラ以外のセンサと学習用データの事前登録が不要なフィジカルサーチシステムを開発し,倉庫を模した環境とオフィスデスクを模した環境で実験を行った.その結果,提案システムは,移動したほとんどの物体を検知し,データベースに登録できた.ユーザは容易な方法で物体を検索し,移動後の位置を特定できた.検索方法の1つとして,スマートフォン上に,過去に移動した物体が存在する位置にAR表示ができるようにした.桑原は,認知症の人が楽しめるゲームシステムの研究として,プロジェクションARと動作認識UIを使用して7つの異なるゲーム体験それぞれにゲームをプロトタイプした.介護職員から得られたゲーム体験のフィードバックに基づき改良を進める.
中川は,高齢者のウェルビーイングに関するメタ分析を行っている.昨年度に収集した論文の1次クリーニングを実施した.塩瀬は,健康福祉や教育分野に関連する公的機関にモニタリング装置や対話支援技術などを実装する場面での技術受容について,インクルーシブデザインの観点から分析ならびにワークショップでの検討を行った。
さらに,代表者ならびに分担者で本科研費プロジェクトにおける実践者や当事者の関与について検討するワークショップを研究会等にて合計4回開催した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

技術開発を担当する分担者の進捗は順調であるものの,技術の評価指標開発ならびにワークショップ開発を担う者の進捗は遅れている.これは,Covid-19の猛威を振るう期間が研究開始時点で想像できたものより,圧倒的に長くなってしまったことに起因する.

医療施設に比べてウイルスへの扱いが慎重にならざるを得ない介護施設では,コロナ禍の期間中に外部者を受け入れることが困難であった.研究チームのメンバーは,それぞれ関係のある施設と継続的に連絡を取り合っていたものの,Covid-19が5類に移行した本年度5月以前には打ち手が限られていた.インタビューはオンライン会議システムを用いて実施できたものの,実地調査が不可能であったため,技術の評価指標開発ならびにワークショップ開発を担うグループの研究を前進させられなかった.

5月以降に実地での研究を開始しているものの,進捗はこれから,という状況である.しかし,技術開発グループでは成果が上がり始めているため,「やや遅れている」の区分とした.

今後の研究の推進方策

技術開発を担う桑原,中山,大島のグループは,今年度と同様に技術開発を継続する.翌年度は特に,情報技術の利用に関して練度の高くないユーザであっても利用できる仕組みの開発に力を入れる.開発された技術は,実地での評価を行い支援の確度を向上させる.また,技術が形になった段階で,杉原グループが開発する評価指標を適用して,当該指標の妥当性を共同で検討する.

杉原グループは,技術受容モデルに今年度の結果を統合して新たな技術評価指標の開発に勤しむ.特に,本プロジェクトの主なテーマである介護職員と施設利用者の関係性を良化させることが,技術利用の意図に影響与えうるかを実証することに主眼を置く.定性調査の結果と技術受容モデルを統合したモデルを提案し,介護施設での就労経験を有する看護師ならびに介護職員を対象とした質問紙調査により構成したモデルの妥当性を検討する.また,中川のメタアナリシスの結果を基に,施設利用者のwell-beingの測定を新規指標に組み込めうるかを検討する.

塩瀬グループは,引き続き技術利用の当事者である介護職員の関与を基盤にしたワークショップの開発を継続するとともに,技術利用にあたっての課題を杉原とともに整理する.なお,翌年度もCovid-19の影響により実地でのワークショップ開催が困難となるリスクが見込まれるため,並行してオンライン環境下でのワークショップ実施方法についても引き続き検討する.

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 再会した人物との自伝的エピソード記憶を想起する手段―名刺とスケジュール情報の比較2023

    • 著者名/発表者名
      阿部 彗菜、大島 千佳、中山 功一
    • 雑誌名

      情報処理学会論文誌

      巻: 64 ページ: 941~954

    • DOI

      10.20729/00225501

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Development of a Game System to Provide Enjoyable Playful Experiences to People in All Stages of Dementia2023

    • 著者名/発表者名
      WenKai Hu、Kuwahara Noriaki、Siriaraya Panote
    • 雑誌名

      2023 IEEE Conference on Virtual Reality and 3D User Interfaces Abstracts and Workshops (VRW)

      巻: na ページ: 239-242

    • DOI

      10.1109/VRW58643.2023.00059

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Nudge-Based Interventions on Health Promotion Activity Among Very Old People: A Pragmatic, 2-Arm, Participant-Blinded Randomized Controlled Trial2023

    • 著者名/発表者名
      Yamada Yukari、Uchida Tomoe、Sasaki Shusaku、Taguri Masataka、Shiose Takayuki、Ikenoue Tatsuyoshi、Fukuma Shingo
    • 雑誌名

      Journal of the American Medical Directors Association

      巻: 24 ページ: 390~394.e5

    • DOI

      10.1016/j.jamda.2022.11.009

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] カメラ以外のセンサと学習用データの事前登録が不要なフィジカルサーチシステムの提案と検証2022

    • 著者名/発表者名
      梶原薪,岡崎政人,川端健介,古川皓登,大島千佳,福田修,中山功一
    • 雑誌名

      情報処理学会論文誌トランザクションデジタルプラクティス

      巻: 3(2) ページ: 76-92

    • 査読あり
  • [学会発表] he Overheard Text Map: A Voice Communication System that Displays Word Clouds of a Conversation in a Virtual Room to Participants Outside the Room2022

    • 著者名/発表者名
      Runa Eguchi, Chika Oshima, Koichi Nakayama
    • 学会等名
      HCII2022
    • 国際学会
  • [学会発表] Improving a Physical Search System that Detects Even Unknown Displaced Objects Using Image Differences, EMERGING 2022,2022

    • 著者名/発表者名
      Shin Kajihara, Masato Okazaki, Chika Oshima, Koichi Nakayama
    • 学会等名
      The Fourteenth International Conference on Emerging Networks and Systems Intelligence
    • 国際学会
  • [学会発表] アクセシビリティ研究における当事者との関係構築 (オーガナイズドセッション)2022

    • 著者名/発表者名
      塩野目剛亮,馬場哲晃,諸熊浩人,設楽明寿,大島千佳
    • 学会等名
      第20回情報処理学会アクセシビリティ研究会
  • [学会発表] 「支援システム」とユーザの良好な関係を目指して2022

    • 著者名/発表者名
      大島千佳
    • 学会等名
      SICEシステム・情報部門 境界と関係性を視座とするシステム学調査研究会
  • [学会発表] FaceCalendar: 顔画像から再会時の想起を支援するスケジュール提示システム2022

    • 著者名/発表者名
      阿部彗菜,大島千佳,中山功一
    • 学会等名
      第19回情報処理学会アクセシビリティ研究会
  • [学会発表] アクセシビリティ研究に当事者を巻き込むのには? ~Nothing About us without us ~2022

    • 著者名/発表者名
      設楽明寿,大島千佳,西﨑実穂,諸熊 浩人
    • 学会等名
      第19回情報処理学会アクセシビリティ研究会
  • [学会発表] 認知症者のウェルビーイング;概念と測定法2022

    • 著者名/発表者名
      中川威
    • 学会等名
      日本老年社会科学会第64回大会
  • [学会発表] 介護支援技術の実装と評価に関する論点整理2022

    • 著者名/発表者名
      塩瀬隆之,杉原太郎
    • 学会等名
      大阪大学 社会技術共創研究センター研究会「未来の社会像を創造する ―介護支援技術の実装と評価に関する論点整理―」
  • [学会発表] CBTによる学力評価への期待と認識のギャップ2022

    • 著者名/発表者名
      塩瀬隆之, 後藤崇志, 加納圭
    • 学会等名
      第46回日本科学教育学会年会論文集
  • [学会発表] 回想支援技術の評価を通した介護支援術評価方法の開発の試み2022

    • 著者名/発表者名
      平賀暉章,杉原太郎
    • 学会等名
      第21回情報処理学会アクセシビリティ研究会
  • [学会発表] 介護現場における 問題発見型研究としてのユーザスタディ2022

    • 著者名/発表者名
      杉原太郎
    • 学会等名
      日本医療福祉政策学会 第 7 回 研究例会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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