研究課題/領域番号 |
20H04474
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤 智亮 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (60274544)
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研究分担者 |
尾方 義人 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (20326416)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 避難所 / レジリエンス / 災害 |
研究実績の概要 |
令和2年度の研究実績の概要は以下の通りである。 (1)「人」に関する必要情報調査: 避難所に着目し、「人」に関してどのような情報が必要かについて、現在使われている各地の避難者カードを参考にして、網羅的に調査をおこなった。その結果、現在の避難者カードには、収集不要であると考えられる項目がいくつかあることが分かった。そこで避難所において真に必要な項目について検討し、氏名、年齢や性別などの基本的な情報以外に、資格・特技、配慮が必要なこと、万が一のときに連絡したい方の連絡先、ペットの有無などの情報を最重要項目として整理した。 (2)「物」に関する必要情報調査: 発災後のフェーズ(発災後72時間以内/避難所対策が中心の時期/避難所から仮設住宅など次の住まい入居までの期間)に応じて必要な支援物品情報を網羅的に調査して列挙した。その後、列挙した物品を、食品・飲料、日用消耗品、衣類などの10個のグループにカテゴライズして整理した。 (3)被災者・自治体職員・支援者にとって必要な情報調査: 発災後のフェーズに応じて、被災者・自治体職員・支援者にとって必要な情報を調査した。その結果、例えば発災直後においては、水道・ガス・電気の三大インフラの復旧状況、交通機関の運行状況などが重要情報であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で、予定していた現地調査がすべてキャンセルとなった影響で、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)「人」に関する情報プラットフォームの構築: 本年度、「人」に関してどのような情報が必要かについて調査をおこなった。今後はこの調査結果を整理したうえで、避難所にいる「人」(被災者)の人数をリアルタイムに把握するシステムを構築する。人数把握については、マイナンバーカードの利用を基本とするが、顔認証や歩容認証などの技術を組み合わせることも検討する。 (2)「物」に関する情報プラットフォームの構築: 本年度、「物」に関して発災後のフェーズ(発災後72時間以内/避難所対策が中心の時期/避難所から仮設住宅など次の住まい入居までの期間)に応じて必要な情報を調査・整理した。今後は整理した避難所で必要な「物」について、ニーズに応じて物品を迅速に届けられるシステムを構築する。ニーズは半自動で判断(例えば人数から必要な食料の数がわかる)し、必要物資を遅滞なく配送できるようにする。例えば、発送元が段ボールに二次元バーコードを貼付することで、物資の配送/配達/在庫状況がリアルタイムに把握できるプラットフォームの構築が可能となる。 (3)被災者・自治体職員・支援者にとって「必要な情報」プラットフォームの構築: 避難所で必要とされる情報を、誰でも容易に、正確に、迅速に得られるプラットフォームを構築する。クライアント側の情報端末は、スマートフォン・タブレット・パソコンとする。表示画面は、回線の混雑を考慮して文字中心のデザインとし、わかりやすいユーザーインターフェイス/ユニバーサルデザインを追求する。 (4)実証実験: コロナ渦で大規模な実験は困難であると思われるので、研究室内での少人数実験を視野に入れ、(1)、(2)で構築したプラットフォームを用いた実証実験を計画し可能であれば実験を実施する。その後、問題点を洗い出し、課題を抽出する。
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