研究課題
本研究では日本の公共図書館が購入・除籍すべき図書を,公共図書館に推薦するシステムを開発すべく主に2つの基礎研究を行った。即ち,(1)国立国会図書館が所蔵せず,公共図書館が所蔵している図書は除籍すべきでない図書とみなし,そうした図書が少なからず存在することを示した。(2)日本では貧困家庭が増えており,そうした家庭の子どもに公共図書館は学習用参考書・問題集を提供すべきという問題意識から,参考書・問題集の所蔵調査と貧困家庭の子どもに対するアンケート調査を行い,ニーズを調べた。(1)(2)の結果はそれぞれ「日本図書館情報学会誌」,“Jurnal Ilmu Informasi, Perpustakaan, dan Kearsipan”に雑誌論文として発表した。次に(1)(2)それぞれの意義について述べる。まず(1)では,国立国会図書館が所蔵せず公共図書館が所蔵している図書が少なからず存在することを示した。従来の常識ではそのような図書は存在しないと思われていたのではないか。本研究はそうした常識を覆す意義を持つと思われる。また国立国会図書館が所蔵していない図書を除籍する時は,同館に寄贈することを提言した。そのような提言もこれまでにないものと思われる。次に先ほどの(2)では公共図書館は学習用参考書・問題集をほとんど所蔵していないことが示された。中小レポートなどに影響された日本の公共図書館では,これは予想された結果であったが,日本の貧困化は年々進んでいる。従来の姿勢を続けてよい根拠はない。実際,貧困家庭の子どもに行った本研究のアンケートでは,学習用参考書・問題集の所蔵(特に英語用)が求められていることが示された。今後公共図書館が取るべき方向の1つを示す意義があったと思われる。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Jurnal Ilmu Informasi, Perpustakaan, dan Kearsipan (Information, Library and Archive Science Journal)
巻: 24 ページ: 114-125
10.7454/JIPK.v24i2.006