研究実績の概要 |
微小多電極によって記録した多数・多様な自然画像に対するサルV4細胞反応の解析を進めた。呈示画像の特徴を解析し,同時にこれら特徴に対する各細胞の選好性を解析して,V4における輪郭形状とその内包する面に関わる中間表現を明らかにした。昨年度までに明らかにした個々の細胞が示す図方向・図領域に注目した受容野構造,個々の細胞が示す複数の特徴(e.g., 形状・輪郭・テクスチャ)に対する選好性を基礎として,今年度は細胞群が有する次元推定を進めた。生理実験では刺激数と細胞数は有限であるが,ここでは外挿によって無限の刺激数・細胞数に対する次元を推定した。さらに,それぞれの次元が何を表現しているのか,複数の刺激特徴をどのように統合しているかに注目して解析した。その結果,刺激特徴が生起するヒト知覚に対応する神経応答があることが判った。 形成・統合の回路機序についても昨年度に引き続き研究を進めた。局所フィールド電位(LFP)の位相コヒーレンス(緩やかな同期)を基礎として,選択的統合が生じ,前駆物体の表現が形成されるとの機序を検討するために,LFP波形のダイナミクス解析を実施した。具体的には,spindleの特徴に注目して,それが生起される機構をダイナミックなモデルを用いて検討した。これらの結果から,数十程度のサルV4細胞が群としてダイナミックに面の中間表現を形成していることが示された。
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