研究課題/領域番号 |
20H04490
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
服部 裕子 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (60621670)
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研究分担者 |
ユ リラ 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (60760709)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アイトラッキング / チンパンジー / テナガザル / 聴覚リズム / 霊長類 |
研究実績の概要 |
本年度は、チンパンジーおよびテナガザルを対象に、アイトラッカーを用いた予備実験を行うと共に、データ収集にむけた実験環境の整備を行った。具体的には、チンパンジーについては、視覚刺激あるいは動画を注視している間に聴覚刺激を提示し、そのタイミングが、瞳孔反応や視線にどのように影響を与えるのかについて予備実験を行った。注視点のみが提示された場合には、その間にホワイトノイズを提示した。チンパンジーの動画を提示した場合には、発声が伴う場面を提示し、発声の提示タイミングを操作して音声を提示しした。注視点を用いた実験では、聴覚刺激呈示前後でモニタに対する注視行動が減少したため、瞳孔反応の変化が十分に計測できた試行は、1/3程度であった。動画を提示した実験では、注視点のみ提示した場合よりも安定した瞳孔データを収集することができた。音声提示の効果については、現在分析中である。 テナガザルについては、アイトラッカーでの視線計測自体がこれまで行われてこなかったため、装置の馴致から行った。その後、ある程度安定した頭部を固定するため、チューブをとおしてジュースを飲ませ、その間にモニタあるいは視覚刺激を提示し一定期間以上注視させることを訓練した。また、アイトラッカーを用いてキャリブレーションをとる訓練も行った。それに並行して、チンパンジーおよびテナガザルについて、パントフートやデュエットコールなどの種特異的な発声パターンの刺激収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響により、霊長類の行動実験の機会を制限する必要があったため、予定していたスケジュールを全体的に遅らせる必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
チンパンジーについては、引き続き動画を注視している際に聴覚刺激も提示し、その間の瞳孔反応および視線をアイトラッカーで計測する予備実験を継続する。チンパンジーの注意が継続し十分に瞳孔の変化が計測できる時間枠を明らかにした後に、聴覚オッドボール課題に移行する。テナガザルに関しては、頭部固定のためのジュースを飲む訓練と並行して、アイトラッカーを用いてキャリブレーションを行う訓練も始める。キャリブレーションが成功したセッションでは、注意を引く視覚刺激(同種他個体やヒトの顔刺激など)を提示し、刺激に対する注視行動の計測を行う。視覚刺激への視線計測が安定してできるようになった後は、聴覚刺激への馴致を行い、チンパンジーで予定している聴覚オッドボール課題を行う予定である。比較実験として、ヒトの被験者を対象に、同様の手続きを用いてデータ収集を行う。
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