研究実績の概要 |
2020年度は、運動中の視覚領野における抑制(クロスモーダル抑制)の作用動態を調べるために機能的MRI実験を行い、脳活動データを取得した。具体的には、右利き成人25名を対象に、右手首の屈曲伸展運動をおこなっている際の脳活動を計測した。この時、実施する運動量とクロスモーダル抑制との関係をみるために、手首の可動域は同じであるが周期が異なる(0.5 , 1, 2Hz)運動、また周期は同じであるが可動域が異なる(20, 40, 60度)運動を用意した。また、入力される視覚量とクロスモーダル抑制との関係をみるために、閉眼・開眼の2つの条件を設定した。得られたデータの前処理を終え、解析の準備を行った。 また、上記の実験と並行して、既に保有しているMRIデータを用いてクロスモーダル抑制に着目した再解析をおこなった。感覚運動課題中にみられるNegative BOLD信号を評価することで、クロスモーダル抑制をはじめ他の脳領域間抑制についても、発達とともに強まり加齢に伴い弱まるというU字型のライフスパン変化を示すことが明らかとなった。また抑制の強化および劣化の時期は、脳領域ごとに多少の差異があることも分かった。これらの成果を学術学会および学術雑誌にて発表した。
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