研究課題
2020年に取得したMRIデータを解析し、運動中における抑制が、(1)運動量および(2)視覚入力に依存して変化するかを検証した。(1) 片手運動時における対側感覚運動野の活動は、運動量(周波数や角度)の増加に伴い増加することを確認した。一方で、同側感覚運動野における抑制度合は、運動量とは関係なくほぼ一定であることが明らかとなった。この結果は、通常、片手運動時に同側感覚運動野で得られるNegative BOLD信号が単なる血流の奪い合い(stealing effect)では説明できないことの傍証といえる。 (2) 運動中に視覚領野でみられるクロスモーダル抑制について詳細に調べると、初期視覚野では閉眼時よりも開眼時の方が抑制度合が強い一方で、高次視覚野では開眼時よりも閉眼時の方が強いという傾向がみられた。この結果は、クロスモーダル抑制が、視覚入力の状況に応じて作動している可能性を示唆するものである。また、上記の解析に加えて、クロスモーダル抑制の機能的役割を明らかにするために、新たな行動実験および脳計測実験を実施した。この実験は、課題とは関係しないモダリティー感覚情報を入力したときに、その不要な情報によって課題遂行が影響される程度と、クロスモーダル抑制との関係を調べることを目的とした。
2: おおむね順調に進展している
コロナ禍のため実験の開始時期を約3ヶ月後ろにずらしたものの、予定通り実験を遂行でき、おおむね順調に進行していると思われる。
今後は、本年度取得したデータの解析を行い、その成果を学会や学会誌等で発表する。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Scientific Reports
巻: 11 ページ: 22696
10.1038/s41598-021-02173-7.
Brain Sciences
巻: 11 ページ: 1099
10.3390/brainsci11081099.