研究課題/領域番号 |
20H04497
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中川 誠司 千葉大学, フロンティア医工学センター, 教授 (70357614)
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研究分担者 |
大塚 翔 千葉大学, フロンティア医工学センター, 助教 (00776049)
チン シュウユェン 千葉大学, フロンティア医工学センター, 特任助教 (70828136)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 骨伝導 / 超音波 / 遠位呈示 / 耳栓効果 / オーディオ・デバイス |
研究実績の概要 |
骨導(骨伝導)で呈示された超音波であれば,聴覚健常者はもとより,最重度難聴者にも知覚される.また,骨導超音波は頭部以外の頸部,体幹,上肢といった“遠位”に呈示した場合も知覚可能である.遠位呈示骨導超音波による聞こえを呈示部位や刺激の音響特徴量,およびチャネル数を変えながら検討し,音声明瞭度や音響情報の可搬性,および音質の向上に有用な知見を得る.また,呈示部位ごとの体内伝搬過程を詳細に検証したうえで,構成や実装形態が最適化された補聴器やオーディオ・デバイスを開発する.2021年度は以下のような研究に取り組んだ. (1)顔面および頭皮上の各部に呈示された骨伝導音の伝搬特性を調べた.その結果,オトガイ隆起を除く顔面部位,後頭部,頭頂部,前額部では従来部位である乳様突起に遜色のない外耳道内音圧が生じることが確認された. (2)顔面および頭皮上の各部に呈示された骨伝導音の音声知覚特性を調べた.頬骨,乳様突起,顆状突起,下顎骨,前額部では比較的良好な単音節明瞭度が得られることが明らかになった. (3)耳栓装用下の骨伝導音聴取時には,低周波域のラウドネスが上昇する“耳栓効果”が生じ,オーディオ・デバイスの音質改善に利用可能と目される.頭部・顔面各部に呈示した場合に生じる耳栓効果を評価した,その結果,鼻骨,眼窩下部,下顎角では従来部位である乳様突起に匹敵する耳栓効果が得られることがわかった. (4)体幹,頭皮,顔面に骨伝導振動子を装用・固定する方法を考案した.特許申請を準備中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウイルス感染拡大の影響を受けて,参画予定であった外国人研究者が来日できない,外部被験者が利用できないなどの問題が生じたものの,研究室内のメンバーが補うことで.およそ当初計画の通りに研究を遂行することができた.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに明らかにした呈示部位ごとの骨伝導音の知覚特性,伝達特性に基づき,骨伝導を利用した補聴器やオーディオ・デバイスの開発に取り組む.頭部や体幹に効率よく,快適に振動子を装用する手法を考案する.また,デバイスの試作を行い,その性能を評価する.
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