研究課題/領域番号 |
20H04499
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西川 昌輝 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (40843149)
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研究分担者 |
酒井 康行 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (00235128)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 腎臓 / オルガノイド / 組織工学 / 幹細胞 / 細胞工学 |
研究実績の概要 |
本研究では、腎ストローマ前駆細胞培養法の開発と、腎組織への灌流可能な血管網の構築を試みた。 まず前者では、腎臓の3種類の前駆細胞のうち、これまで未確立であったストローマ前駆細胞の分化誘導法および拡大培養法をマウスとヒトの両細胞で開発した。これにより、3種類の腎前駆細胞すべてについて、高純度・高品質・高効率な前駆細胞の供給が可能となった。 次に後者については、工学的・生物学的な知見とアプローチの融合により、外部灌流回路とつながった血管様組織から腎臓組織への毛細血管網の伸展を達成した。まず、工学的に血管を構築し、そこからまずマウス胎児腎臓への血管新生を試みた。血管様組織・培養環境に関する条件の血管新生への影響を調べ、これらの最適化を試みた。工学的に作られた血管から腎臓内の糸球体近傍までの血管新生が達成され、また新生に関する条件間の比較検討も行うことができた。これら結果より、本実験系は、生体外での腎組織への血管新生の評価系として機能することが認められた。一方、本実験系では血管新生が始まる日数に生体内との乖離が見られ、培養条件等にさらなる向上の余地がある。このため、今後の展望としては腎臓を配置してから1日程度の短期間で血管新生が開始する培養系の構築を目指す。 本研究で最適化された血管組織上で、胎児腎臓中のどの細胞種・構造が血管網配備に必要になるかを検討し、それら知見を反映したオルガノイドを作製・血管組織上へ配置することで生体内に近い血管網配備の達成が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
移植可能な腎オルガノイドの構築には、効率的な前駆細胞の供給と、外部流路と接続され灌流可能な血管網の配備が必要条件となる。 本研究では、腎ストローマ前駆細胞培養法の開発と、腎組織への灌流可能な血管網の構築を試みた。 まず前者では、腎臓の3種類の前駆細胞のうち、これまで未確立であったストローマ前駆細胞の分化誘導法および拡大培養法をマウスとヒトの両細胞で開発した。これにより、3種類の腎前駆細胞すべてについて、高純度・高品質・高効率な前駆細胞の供給が可能となった。 次に後者については、工学的・生物学的な知見とアプローチの融合により、外部灌流回路とつながった血管様組織から腎臓組織への毛細血管網の伸展を達成した。まず、工学的に血管を構築し、そこからまずマウス胎児腎臓への血管新生を試みた。血管様組織・培養環境に関する条件の血管新生への影響を調べ、これらの最適化を試みた。工学的に作られた血管から腎臓内の糸球体近傍までの血管新生が達成され、また新生に関する条件間の比較検討も行うことができた。これら結果より、本実験系は、生体外での腎組織への血管新生の評価系として機能することが認められた。 上記のように、実際の応用に向けては乗り越えるべきハードルは様々残っているものの、腎ストローマ前駆細胞培養法の開発と、腎組織への灌流可能な血管網の構築という必要条件について、達成または非常に有望な結果を得ることに成功した。よって、進捗は概ね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の展望としては腎臓を配置してから1日程度の短期間で血管新生が開始する培養系の構築を目指す。本研究で最適化された血管組織上で、胎児腎臓中のどの細胞種・構造が血管網配備に必要になるかを検討し、それら知見を反映したオルガノイドを作製・血管組織上へ配置することで生体内に近い血管網配備の達成が期待される。
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