本研究により、生体線維組織において超音波によって誘起される電気分極(音響誘起分極)は、等方的に生じるわけではなく、コラーゲン等の線維状タンパク質の配列や構造に起因していることが示唆された。さらに、ラット骨粗鬆症モデルにおいては分極が小さくなることが明らかにされた。これらの結果から、湿潤または生きた生体組織において構造由来の圧電分極が生じることが確認され、その分極の大きさや異方性が運動器官組織の健全性を評価する指標になることが見込まれる。一方、ヒト体内の骨や腱からの分極を画像化することに成功し、基礎研究から臨床研究へ進む大きな一歩を踏み出した。
|