研究実績の概要 |
血管周囲腔における脳脊髄液の脈波依存的な流れを古典的な生物流体力学の知見に基づきスケーリングすることに成功し,その結果を査読付き国際雑誌論文(Journal of Theoretical Biology)に報告した[Yokoyama & Takeishi, et al., 2021, 523:110709]. また,Wrightら(2013)が公開している脳動脈血管のMRI画像に基づき,被験者個別の脳動脈モデルの構築と1次元血流解析を行った.本解析の目的は,willisの動脈輪からの血管分岐世代ごとの脈波の減衰過程を明らかにすることである.現時点で被験者個別脳動脈モデルを用いたテスト解析を終え,入口および出口での境界条件の妥当性について着目する必要性を明らかにした. 細胞スケールにおける脳内物質輸送問題の解析に向けた準備として,直径15マイクロメートルから50マイクロメールにおける直円管路内での赤血球単体の流動挙動を解析し,管径やレイノルズ数依存的な赤血球の安定した流動挙動を明らかにした.本結果の一部は,既に査読付き国際雑誌論文して報告済みである.上述の知見は,微小流路デバイスを用いた細胞分離技術や新たな細胞検出技術の基礎知見として有用であると期待している.また,国際的なレオロジー学会(SCHM-ISCH-ISB2021, ACROS Fukuoka, Fukuoka, Japan, Jul. 4-7, 2021)において血球流動に関する研究発表を行い,その内容が評価されたことでRising Star Awardを受賞した.上述した2件の論文発表以外での国際査読付き論文は2件(計4件)である.
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