• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実績報告書

ヒト大脳皮質オルガノイドの機能を指標とした薬効評価法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20H04507
研究機関東北工業大学

研究代表者

鈴木 郁郎  東北工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90516311)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード脳オルガノイド / ヒトiPS細胞 / 微小電極アレイ / 神経伝達物質 / 電気活動 / カーボンナノチューブ
研究実績の概要

初年度は、複数の疾患ヒトiPS細胞および健常者ヒトiPS細胞を用いて、脳オルガノイドの作製条件の検討を行った。脳オルガノイド作製課程の各段階でチェック項目を設定した。脳オルガノイド作製効率は、iPS株に依存する為、作製効率と作製後の免疫染色により、機能計測に用いるiPS株を同定した。脳オルガノイドの平面微小電極アレイ計測法を検討し、自発活動および薬剤応答を検出した。脳オルガノイドから検出される細胞外電位波形の解析法を検討し、特に、低周波成分に着目し、薬剤評価に有効なパラメータを導出した。痙攣を誘発するペンチレンテトラゾール投与においては、培養細胞では見られなかった急激かつ持続的な発火数の増大が用量依存的に観察された。培養細胞では観察されない現象であり、3次元構造を有する脳オルガノイド特有の現象であることがわかった。ただし、毎回観察されるわけではなく、作製されるオルガノイドに依存していることも明らかとなった。また、抗てんかん薬の効き方が、疾患脳オルガノイドの種類に依存して異なる現象をが検出された。神経伝達物質計測技術の開発では、カーボンナノチューブ微小電極アレイ表面に各種酵素を修飾することで、100nM以下のグルタミン酸を検出した。酵素を変更することで、GABAも検出できることがわかった。更に、細胞外電位と電気化学の同時計測により、マウス脳スライスの海馬領域から、活動電位とグルタミン酸放出の同時リアルタイム計測に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

健常および疾患脳オルガノイドの作製および微小電極アレイを用いた電気活動計測に成功し、疾患別の薬剤応答性の違いが検出されたこと、神経伝達物質計測においては、脳スライスを用いて、グルタミン酸放出と細胞外電位の同時計測に成功したことから、おおむね当初の計画通りに進んでいるといえる。

今後の研究の推進方策

脳オルガノイドの作製効率を向上させる為の方法論の検討、GABA検出の為のカーボンナノチュール表面修飾の検討を行い、研究計画を実施する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Can We Panelize Seizure?2021

    • 著者名/発表者名
      1.R Roberts, S Authier,D Mellon, M Morton, I Suzuki, RB Tjalkens, JP Valentin, JB Pierson
    • 雑誌名

      Toxicological Sciences

      巻: 179 ページ: 3-13

    • DOI

      10.1093/toxsci/kfaa167

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Versatile live-cell activity analysis platform for characterization of neuronal dynamics at single-cell and network level2020

    • 著者名/発表者名
      Yuan X, Schroter M, Obien MEJ, Fiscella M1, Gong W, Kikuchi T, Odawara A, Noji S, Suzuki I, Takahashi J, Hierlemann A, Frey U
    • 雑誌名

      Nature communication

      巻: 11 ページ: 1-14

    • DOI

      10.1038/s41467-020-18620-4

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 脳オルガノイドのMEA計測2021

    • 著者名/発表者名
      横井 れみ, 石橋 勇人, 松田 直毅, 永福 菜美, 鈴木 郁郎
    • 学会等名
      第94回日本薬理学会年会
  • [学会発表] 神経機能を指標としたインビトロ毒性評価試験とAI2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木郁郎
    • 学会等名
      第47回日本毒性学会学術年会
  • [学会発表] in vitroヒト神経機能を指標とした創薬利活用2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木郁郎
    • 学会等名
      第58回日本人工臓器学会
  • [学会発表] ヒト大脳皮質オルガノイドにおける痙攣陽性化合物に対する応答2020

    • 著者名/発表者名
      小田原 あおい, 松田 直毅, 石橋 勇人, 横井 れみ, 鈴木 郁郎
    • 学会等名
      第47回日本毒性学会学術年
  • [学会発表] ヒト脳オルガノイドのMEA計測による痙攣陽性化合物の応答評価2020

    • 著者名/発表者名
      横井れみ,石橋勇人,松田直毅,小田原あおい,鈴木郁郎
    • 学会等名
      第27回HAB研究機構学術年会
  • [図書] ヒトiPS神経の機能を指標とした医薬品の神経毒性予測および薬効評価への取り組み2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木郁郎
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      日本薬理学会誌
  • [図書] ヒトiPS細胞由来神経細胞を用いた痙攣評価系の検討2020

    • 著者名/発表者名
      白川誉史, 鈴木郁郎
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      日本薬理学会誌

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi