本研究では、再生心筋組織の階層構造における各レベル(分子群、細胞、組織)の拍動収縮力を計測する技術を開発し、再生心筋組織の拍動収縮力発現メカニズムの一端を解明することを狙った。分子群レベルの拍動収縮力計測系の構築には至らなかったが、心筋細胞の拍動収縮力と再生心筋組織のそれの計測技術を構築できた。その結果、組織レベルの計測で得られた再生心筋組織の単位面積当たりの拍動収縮力は、細胞レベルの計測で得られたそれの約30倍強いことが分かった。再生心筋組織の拍動収縮力は、個々の心筋細胞が生み出すそれの単純な足し合わせではなく、心筋細胞群の配向や拍動の同期性等が相乗的に作用する結果であることが示唆された。
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