研究課題
基盤研究(B)
体内に内在する多能性のMuse細胞は傷害組織で死細胞を貪食し、分化を通じて細胞置換することで組織修復することが分かった。死細胞に含まれている分化に必要な転写因子やmRNAなどが貪食によって素早くMuse細胞に取り込まれて再利用され、遺伝子発現を活性化し、エラー無く被貪食細胞と同種の細胞に分化する。多能性であるため幅広い細胞種に分化可能である。iPS細胞では貪食能がほとんど無く、このような分化様式は持たないことが分かった。
再生医学
これまで細胞分化は遺伝子導入やサイトカイン刺激など、外からの因子が加わることで制御されると長らく考えられてきた。また貪食というのは、マクロファージに代表されるように異物や死細胞などの残骸を掃除するための免疫的な機能として理解されてきた。本実験によって貪食は単にゴミ掃除ではなく、分化に必要な因子を素早く無駄なく獲得し、同じ細胞種に迅速分化するという全く新しい生物学的機能を発見することに繋がった。