研究課題/領域番号 |
20H04511
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関野 祐子 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任教授 (70138866)
|
研究分担者 |
山澤 徳志子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (00282616)
山崎 大樹 国立医薬品食品衛生研究所, 薬理部, 室長 (40467428)
木村 啓志 東海大学, 工学部, 准教授 (40533625)
鈴木 郁郎 東北工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (90516311)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 培養神経細胞 / 細胞外電位記録 / 膜電位感受性色素 / カルシウムイメージング / マイクロ流路 |
研究実績の概要 |
記憶情報の取り込みと定着には、特徴的な周波数の脳波に同調する神経活動リズムが関与している。認知症では脳波のリズム周期に異常が観察されることが知られており、その正常化は認知機能の改善につながると考えられている。リズム周期は神経活動後に続く同期的な過分極応答で決定されているので、過分極応答に作用する薬剤がリズム周期の正常化をもたらす可能性がある。本研究では、齧歯類あるいはヒトiPS細胞由来神経細胞を高密度で培養すると観察される同期性の神経活動を実験モデルとする。フィールド電気刺激と迅速な外液交換が可能な培養神経細胞用イメージングデバイスを作成して、神経活動リズム周期の形成にかかわる過分極応答可視化して、種々の薬剤によりその伝達物質とイオンチャネルのメカニズムを明らかにする。 本年度は、多点電極アレーシステム(MEA;アルファーメッドサイエンティフィック社)に搭載する電極プローブで、神経細胞から同期的信号を記録するための条件設定をおこなった。本研究では、妊娠ラットを解剖して胎仔海馬を摘出して細胞培養を行う標本作成法ではなく、国内で製造市販されているラット胎仔由来凍結海馬神経細胞(SKYニューロン;アルメッド社)を用いた。本細胞では低密度培養で再現性の良い実験結果が得られている。本研究で細胞外電位記録のための細胞播種条件を検討したところ、妊娠ラットから作成した標本と同等の細胞外電位が記録できた。また、カルシウムイメージングのための神経細胞染色条件を検討したところ、シングル細胞レベルで自発てきなカルシウムシグナルが記録できることを確認した。さらに、細胞外電位と膜電位イメージングまたはカルシウムイメージングを同時に行うことを目的としていることから、MEAシステムとイメージングシステム(Brain Vision社)を同時計測を可能にした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養細胞の播種条件が適切であることを、多点電極のみならず、シングルセルレベルのカルシウムイメージングで記録できたことで、第一ステップをクリアした。まだ、多点電極システムとイメージングシステムを同期させるシステムが完成した。培養条件と、記録システムが完成したことで、来年度には、実際に同時記録を実施することが可能となった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、細胞外電位記録と膜電位イメージングまたはカルシウムイメージングの同時記録を完成させる。細胞外液のイオン濃度を検討して、自発の群発を抑えることにより、細胞外電気刺激に応答する信号を記録する。イメージング法では、薬理効果を定量的に解析するためには薬液投与前の平均加算信号と薬液投与後の平均加算信号の比較が重要であるため、細胞外電気刺激で同期させることが重要である。 ヒトiPS細胞由来神経細胞を使って多点電極記録の条件を検討する。まずは、イメージングとは同時記録はできないが、48Wellプレートの細胞外電位記録システム(マエストロ;Axiom社)を用いて、ヒトiPS細胞由来神経細胞から細胞外電位を記録する培養条件を検討する。その条件を用いて、細胞外電位とイメージングの同時記録システムに応用して、本実験計画に導入する。
|