研究課題/領域番号 |
20H04513
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
西舘 泉 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70375319)
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研究分担者 |
小久保 安昭 山形大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (40343074)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | RGBカメラ / 脳組織 / バイアビリティ / 組織酸素飽和度 / リアルタイムイメージング / 術中モニター |
研究実績の概要 |
山形大学手術部が保有するLeica製手術用顕微鏡と農工大が保有するZeiss製手術用顕微鏡のそれぞれの顕微鏡ヘッドの拡張ポートにカラーカメラを接続し、術中イメージングシステムを構築した。それぞれの機関で画像取得装置を構築することで、システムの開発、実装、動物実験およびヒトに対する実証試験を効率的に進めることを可能とした。脳外科手術中で使用する条件(作動距離、拡大率、光量)の下で色標準カラーチャートと標準白色板を用いて撮像系のキャリブレーションを行った。 先行研究で開発した手法を発展させることで、脳表のカラー画像から脳組織中の酸素化ヘモグロビン量、脱酸素化ヘモグロビン量、総ヘモグロビン量、組織酸素飽和度、光散乱特性をリアルタイムで画像化するシステムをMATLAB Simulinkをベースに開発した。さらに、臨床での使用時の操作性を考慮して、結果の表示画像内に任意の2つの関心領域(ROI)を設定し、術中モニタリング中にROIの位置とサイズを任意に変更できるグラフィックユーザーインターフェース(GUI)も付加し、所望のROIの時間変化も同時にモニタリングすることが可能なシステムとした。 In vitro(生体模擬ファントム)実験およびラットを用いた動物実験によりシステムの妥当性を評価した。また、3年目に行う予定の本格的な人を対象とした実証試験の予備試験として、山形大学医学部附属病院において研究分担者(臨床医)の小久保安昭准教授が執刀する手術中に、開発したシステムの設計検証試験を行った。比較対象としてレーザー光組織酸素モニターによる組織酸素飽和度の接触型ポイント計測を行い、開発した非接触イメージング方式で得られた結果と市販の接触型計測装置で得られた組織酸素飽和度の間の相関を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、撮像系の構築とリアルタイム画像表示システムの開発が完了している。また、2年目に行う予定の動物実験の予備実験として、ラットを対象とした実験を行い、血行動態変化の妥当性を確認できている、さらに、3年目に行う予定のヒトを対象とした実証試験の予備的検討として、脳外科手術中の組織酸素飽和度リアルタイムイメージングを実施し、処置前後の変化から、一定の条件下での妥当性が確認できている。
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今後の研究の推進方策 |
1年目で得られた予備的な動物実験とヒトを対象とした設計検証試験の結果を考察し、2年目および3年目の研究において修正していくべき点の洗い出しを行う。修正や追加が必要な性能や操作性の項目をシステムに反映させるとともに、2年目の研究では、大規模データセットを構築し、畳み込みニューラルネットワークを利用した機械学習を適用することで組織バイアビリティを定量的に可視化する方式を新たに開発する予定であるため、開発したシステムの結果画像の表示性能だけでなく、画像データ保存の効率化も図る方策である。
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