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2020 年度 実績報告書

ファイバー型増幅法による超高感度・迅速がん検体検査技術の創製

研究課題

研究課題/領域番号 20H04514
研究機関信州大学

研究代表者

山口 昌樹  信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (50272638)

研究分担者 小泉 知展  信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20273097)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードバイオセンサ / がん / 超短パルスレーザー / 信号増幅 / サイトカイン
研究実績の概要

本研究では,超短パルスレーザーでガラスファイバー束表面に機能的テクスチャを付与するナノ/マイクロ加工技術を用い,検出部を3次元空間化して反応面積を増大しつつ親水化することで,1 pg/mL の超高感度化と,数分以内の迅速分析を達成する革新的な増幅法の原理・製造方法を構築する。本年度は,ファイバー表面への微細構造の形成法と機能的テクスチャの研究に取り組んだ。
1. 微細構造の形成法 表面波干渉法では,加工痕がトリガーとなって次の微細周期構造が連続的に生じる。そこで,保有する超短パルスレーザー加工装置 (190 fs ~ 20 ps) と親水性のガラスを母材に用い,フルエンスやパルス幅などをパラメータとし,表面積増加率10倍を達成する微細構造の形成条件を見出した。購入したレーザーパターニング加工装置でレーザービームを回転させる加工法を構築し,様々な3次元パターンを作り出することで目標達成に結び付けた。
2. 親水機能テクスチャの至適条件 ナノ/マイクロメートルの2周期構造が複合したバラ花弁効果は,超親水性を発現する。これは表面積増大にも適しており両機能が競合しない。つまり,バラ花弁効果をモチーフとした微細構造の作成をターゲットとし,その親水性を検証した。保有する全自動接触角計で静的接触角を評価し,超親水性を発現するパターンの形成条件を同定した。並行して,小泉 (医学部:研究分担者) は,がんマーカーの生物学的半減期に関する調査研究や実験的検証に協力し深掘りした。
以上により,センサ表面への微細構造の形成法と機能的テクスチャの研究を進めることで,増幅法開発のめどをつけることができた。
また,本年度の成果は,レーザー分野を中心に国内外の雑誌論文4編,学会発表5件等で報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナ禍という未然に回避することができないやむを得ない状況により,超短パルスレーザー加工に必要となる特注の中空モータ (及び制御ユニット) の納品が約6ヵ月遅れ,年度内に入手できなくなったため,本装置関連のデータ収集に後れを生じたこと。

今後の研究の推進方策

次年度は,予定通りバイオセンサの開発を中心に据えて進める。ファイバー型増幅法で用いるガラスファイバーへの加工は,母材の融点が高いことなどもあってレーザーのフルエンスを大きくするとファイバーが破断するなどの不具合の発生確率が予想以上に大きいことが判明し,期待した表面積増大効果に達しない可能性が予見された。そこで,透明なバルク材質に穴加工を施す方向である空間増幅法へ発想を転換することにした。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Processing of Functional Texturing on Micro-fibers by Laser-induced Micro/Nanoscale Surface Topographies2020

    • 著者名/発表者名
      Masaki Yamaguchi, Ryosuke Kase, Hidenori Shimada
    • 雑誌名

      Journal of Laser Micro/Nanoengineering

      巻: 15 ページ: 123~127

    • DOI

      10.2961/jlmn.2020.02.2008

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Direct Laser Processing of Two-Scale Periodic Structures for Superhydrophobic Surfaces Using a Nanosecond Pulsed Laser2020

    • 著者名/発表者名
      Shimada Hidenori、Kato Shunichi、Watanabe Takumi、Yamaguchi Masaki
    • 雑誌名

      Lasers in Manufacturing and Materials Processing

      巻: 7 ページ: 496~512

    • DOI

      10.1007/s40516-020-00130-2

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] バイオミメティクス加工技術による機能的テクスチャの実現― 短パルスレーザー加工を中心に―2020

    • 著者名/発表者名
      島田 秀寛,山口 昌樹
    • 雑誌名

      成形加工

      巻: 32 ページ: 233~236

  • [雑誌論文] 生体計測・感性とストレス2020

    • 著者名/発表者名
      山口 昌樹
    • 雑誌名

      日本AEM学会誌

      巻: 28 ページ: 184~189

  • [学会発表] 物質表面の撥水性や親水性を物理的に制御するバイオミメティクス技術2021

    • 著者名/発表者名
      山口 昌樹
    • 学会等名
      長野県広域産学官交流ネットワーク2020
    • 招待講演
  • [学会発表] 唾液マーカーを用いたポイント・オブ・ケア検査へのアプローチ2020

    • 著者名/発表者名
      山口 昌樹
    • 学会等名
      第47回日本毒性学会学術年会 シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] リエントラント構造による超撥水表面の創製2020

    • 著者名/発表者名
      山口 昌樹
    • 学会等名
      第59回日本生体医工学会大会
  • [学会発表] リエントラント構造による撥油性表面の創製2020

    • 著者名/発表者名
      山口 昌樹
    • 学会等名
      日本機械学会2020年度年次大会
  • [学会発表] 超短パルスレーザー加工で撥水性を発現したバイオセンサ用ファイバー2020

    • 著者名/発表者名
      下内 康太郎,山口 昌樹
    • 学会等名
      繊維学会秋季研究発表会
  • [備考] 信州大学山口研究室

    • URL

      http://fiber.shinshu-u.ac.jp/yamaguchi/TOP.html

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公開日: 2022-12-28  

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