研究課題/領域番号 |
20H04523
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山田 勇磨 北海道大学, 薬学研究院, 准教授 (60451431)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 薬物送達システム / ミトコンドリア / ゲノム編集 / 遺伝子治療 / ナノカプセル |
研究実績の概要 |
ミトコンドリアのゲノム変異と種々の疾患との関連が報告されており、本オルガネラを標的とした遺伝子治療が期待されている。本申請研究では、ミトコンドリア標的型ナノカプセル (MITO-Porter)を用いて標的ミトコンドリアへゲノム編集装置を運搬し、ミトコンドリア機能を遺伝子レベルで治療する事を目的とする。2020年度は、『疾患細胞ミトコンドリア標的型ナノカプセルの構築』および『ゲノム編集装置のパッケージング』を中心に下記に記載した計画で研究を進める予定である。 ①疾患細胞ミトコンドリア標的型ナノカプセルの構築: ミトコンドリア病由来・皮膚細胞を提供頂き、本疾患細胞を用いたナノカプセルの細胞内動態を観察した。細胞導入能の評価 (フローサイトメトリーの利用)、細胞内動態観察 (共焦点レーザースキャン顕微鏡の利用)を行い、ナノカプセルのミトコンドリアへの移行を確認した。 ② ゲノム編集装置のパッケージング: 本研究では、疾患細胞が保有するtRNA領域のmtDNA変異をゲノム編集可能な装置を設計・構築した。試験管内で本ゲノム編集装置が標的配列を認識可能である事を確認した。さらに、ゲノム編集装置をパッケージングしたナノカプセルを調製し、粒子物性(粒子径・ゼータ電位)を測定し、物性を最適化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『疾患細胞ミトコンドリア標的型ナノカプセルの構築』に成功し、『ゲノム編集装置のパッケージング』も行った。ここまでに示した内容は2020年度に計画した全ての研究内容が網羅されており、研究の目的を達成する多くの成果を得ることができた。 以上より、現在までの達成度は『おおむね順調に進展している』と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、『疾患細胞における遺伝子治療戦略の検証』を中心に1. ゲノム編集の検証および2. ミトコンドリア機能の評価について、下記に記載した計画で研究を進める予定である。
1. ゲノム編集の検証: 疾患細胞が保有するtRNA領域のmtDNA変異をゲノム編集可能な装置をパッケージングしたMITO-Porterを調製し、疾患細胞ミトコンドリア内部にゲノム編集装置を導入する。細胞実験に移行する前に、単離したミトコンドリアでゲノム切断・編集の効率を評価する。これらの評価には、定量的PCR法を利用してミトコンドリア内部のmtDNA変異の切断・編集効率を測定する。その後、疾患細胞での評価を行い、キャリアの最適化を図る。
2. ミトコンドリア機能の評価: 実験に用いる疾患細胞は、ミトコンドリア呼吸活性複合体の活性低下が観察されている。そのため、治療効果の指標としてミトコンドリア呼吸活性(細胞外フラックスアナライザー)を評価する予定である。
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