研究課題/領域番号 |
20H04534
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
ハラ エミリオ・サトシ 岡山大学, 医歯薬学域, 研究准教授 (40779443)
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研究分担者 |
松本 卓也 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (40324793)
大野 充昭 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (60613156)
長岡 紀幸 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (70304326)
岡田 正弘 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (70416220)
藤枝 俊宣 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (70538735)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 骨髄初期形成 / 細胞膜ナノフラグメント |
研究実績の概要 |
骨髄形成のメカニズムを解明することは、in vitroにて生体を模倣した骨髄組織を構築することが可能となり、骨-造血疾患のドラッグスクリーニングや再生治療の技術開発への新たな展開に繋がることが期待されるが、未だ達成されていない。我々はこれまでに、「細胞膜ナノフラグメント」が海綿骨形成に重要な役割を果たすことを発表した。また、海綿骨形成後に、間葉系幹細胞などの細胞が海綿骨の表面に定着し、骨髄を形成することが明らかとなった。つまり、「細胞膜ナノフラグメント」は海綿骨・骨髄初期形成に関与していることが示唆された。さらに、培養細胞から細胞膜ナノフラグメントを単離する手法を確立し、この細胞膜ナノフラグメントを用いることで、in vitroにて海綿骨形成を迅速に誘導することに成功した。 本研究では、海綿骨-骨髄形成過程について、生物学・材料科学的に解析する。また、リバースエンジニアリング的に骨髄初期形成過程をin vitroで模倣・構築し、その制御を試みる。そして、骨髄初期の構造と機能を精密に再現することで、細胞膜ナノフラグメントを基盤とした骨髄の初期形成メカニズムを再検討し、より深い理解を目指す。 本年度は以下の実験を実施した。 1)新生児マウス大腿骨骨端部における海綿骨の初期形成時期(生後6日目)から骨髄初期形成時期(生後12日目)の組織変化を組織学的・材料学的に解析した。また、骨髄初期の三次元的情報を得る為、新生児マウス大腿骨骨端部の骨髄初期形成時期を集束イオンビーム・走査型電子顕微鏡(FIB-SEM)を用いの三次元観察を行うための準備を行った。 2)骨髄初期形成に関与する細胞集団の遺伝子発現パターンを次世代シーケンサーを用いて解析を行った。これらの解析により、海綿骨の形態変化、ならびに海綿骨に定着し、骨髄を形成する細胞集団の遺伝子発現パターンなどの特徴を明らかにすることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画をもとに、実験を行い、順調に研究成果を得られている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、細胞膜ナノフラグメントを様々な材料と結合させ、間葉系幹細胞を培養可能とするバイオデバイスの構築を目指す。具体的には、細胞膜ナノフラグメントを電気活性ポリマーの表面に化学的に結合させ、酸化・還元の条件下で、細胞膜ナノフラグメントの骨形成能を制御し、最適な条件を見出す。最適な条件下で、石灰化した細胞膜ナノフラグメント上に間葉系幹細胞を培養し、これらの細胞の骨芽細胞への分化能を免疫染色やリアルタイムRT-PCRを用いて評価する。また、新生児マウス大腿骨骨端部の骨髄初期形成時期(生後12日目)の三次元観察(FIB-SEM)を行う。次世代シーケンサー用いた骨髄初期形成に関与する細胞集団の遺伝子発現パターン解析をもとに、これらの細胞の同定を行うとともに、時空間的な分布、遺伝子発現パターン変化を追跡する。
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