研究課題/領域番号 |
20H04549
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
粟津 邦男 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30324817)
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研究分担者 |
西村 隆宏 大阪大学, 工学研究科, 助教 (10722829)
森田 圭紀 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (60420460)
間 久直 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (70437375)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 光線力学診断 / 蛍光内視鏡 / PDD |
研究実績の概要 |
本研究では,複数波長により励起可能な PDD 光学系を搭載したレーザー ESD 内視鏡システムの実装,消化管壁深層の局在診断と ESD 適応診断手法の確立,動物実験による有効性の実証により,提案原理の臨床応用展開を最終目標とする.本年度は,励起波長最適化による深層局在検出の実証と光学ファントムによる癌深達度診断の原理実証を行った. 1. 励起波長最適化による深層局在検出の実証 アミノレブリン酸光線力学診断(5-aminolevulinic acid-based photodynamic diagnosis: ALA-PDD)を対象として,診断深度を拡張するための励起光波長を検証した.粘膜組織中の光減衰とプロトポルフィリンIXの吸光特性から検出される蛍光強度を励起光波長ごとに計算した.比較結果,,腫瘍の深さが0.9 mm以深では波長505 nmの緑色光励起で蛍光強度が最も高くなった.摘出ブタ膀胱粘膜組織を用いた実験で,現行のALA-PDDシステムで用いられている波長405 nmと比較して,波長505 nmで励起した場合において,腫瘍の深さが0.8 mm以深で蛍光強度が高くなり,励起光波長による診断深度の拡張を実証した. 2. 光学ファントムによる癌深達度診断の原理実証 光学ファントム中の励起光分布とプロトポルフィリンIXの吸光特性から,蛍光体の深さに対する蛍光強度比を示す検量線を数値計算により作成した.光学ファントムへPpIXを注入した蛍光体チューブを配置し,PpIXの最大吸収ピーク波長である波長405 nmと組織深くまで侵達する波長505 nmの励起光をそれぞれ照射することで蛍光画像を取得した.測定した蛍光強度比から検量線を用いて蛍光体の深さを推定した.ファントム表面から0.25―1.75 mmの範囲において,真値からの差が平均0.1 mm以下で蛍光体の深さを推定できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本原理の実証が完了したため.
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今後の研究の推進方策 |
未知の光学特性値に対する癌深達度診断に向け,深層学習に基づく測定手法を導入する.また,ブタ摘出胃を用いた原理実証を行う.
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