研究課題/領域番号 |
20H04555
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
岡本 淳 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10409683)
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研究分担者 |
吉澤 晋 東北大学, 工学研究科, 教授 (30455802)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 音響力学的療法 / 集束超音波 / キャビテーション |
研究実績の概要 |
本提案では音響力学的療法(sonodynamic therapy:SDT)において抗腫瘍効果増大作用を示す薬剤の網羅的な探索研究を行う。SDTは高密度集束超音波(high-intensity focused ultrasound: HIFU)と薬剤の相互作用を利用する方法であり、体内深部の低侵襲がん治療を目的としている。我々は既にDDS製剤(エピルビシンナノミセル)を用いたSDTの疾患動物治療や人に対する臨床研究を行っているが、SDTの作用機序自体は明らかでない部分が多い。本研究では難治性がんの代表である膵がん等で適用されている抗がん剤を中心に選定した薬剤に対し、HIFUとの相互作用によるマウスに対する腫瘍増殖抑制効果検証実験を行い、がんに対して有効な薬剤のスクリーニングを行うとともに、結果から推測される作用機序について考察を行い、SDTの効果に関する科学的な説明を試みる。 本年度は効果的にキャビテーションをエンハンス可能なマルチチャンネルトランスデューサを開発し、性能評価試験を実施した。加熱波、トリガー波の焦点サイズと焦点位置、サイドローブの大きさを精密に測定し、また、天秤法により音響出力も正確に測定を行った。さらに焦点温度の計測も行い、細胞に対するサーマルドーズとの関係を導き、細胞への影響を定量化した。来年度以降、本トランスデューサを用い、マウス等を用いたSDT実験を実施していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
音響力学的療法は集束超音波と薬剤の相互作用による治療法だが、集束超音波単独でも抗がん剤でもそれぞれ腫瘍に対する抗腫瘍効果があるため、単独での効果との切り分けが難しいという課題があった。そこで本年度は、集束超音波単独での治療効果を検証するため、超音波トランスデューサ性能の精密測定による評価を実施した。広範囲にキャビテーションをエンハンス可能な128chトランスデューサを開発し、加熱波、トリガー波の焦点サイズと焦点位置、サイドローブの大きさを精密に測定した。また、天秤法により音響出力も正確に測定を行った。さらに焦点温度の計測も行い、細胞に対するサーマルドーズとの関係を導き、細胞への影響を定量化した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降、開発したトランスデューサを用い、マウスに対する抗腫瘍効果確認実験を実施する。抗がん剤だけでなく、音響感受性薬剤を用い、SDTの機序について科学的な説明を試みる。
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