研究課題
我が国でも今後増加すると思われる熱帯性感染症などの早期診断を確実に行うためには、検体から極微量の病原体成分を短時間で特異的に検出する超高感度検出法を開発する必要がある。これまでは病原体の核酸増幅法が最高感度として推奨されてきたが、今回の目的にはさらなる高感度化が必要となる。我々は、サンドイッチELISA法とチオNADサイクリング法とを組み合わせた「極微量タンパク質測定法」の原理を発明した。本研究ではこの原理に基づいた測定法を最適化することで、タンパク質を超高感度で測定する世界初のシステムの構築を目指した。その適用例としてデング熱(デングウイルス)の早期診断システムの構築を試みた。我々が開発した「タンパク質の超高感度ELISA法」において、(A)まずはさらなる高感度化を図るべく、酵素の改良、基質の改良を含んだ至適条件の検討を行った。目標は、デングウイルスNS1タンパク質(非構造タンパク質)をモデルタンパク質として 10^-18 moles/assayの検出を可能にすることであった。ちなみにNS1タンパク質は、我が国の国立感染症研究所ならびにWHOや米国CDCによって検出が推奨されているタンパク質である。(B)超高感度ELISA法の至適条件決定後に、デング熱患者から採取した血液において、デングウイルスの検出を試み、早期診断システムを構築した。ちなみに、NS1タンパク質は敢えて抽出処理を施す必要は無く、血中に漏出してくることがわかっている。この患者検体は、台湾の高雄医学大学から共同研究として譲渡された。このように当初の目標通りに、デング熱ウイルスをターゲットとしたタンパク質の超高感度測定法を開発することができ、感染症の早期診断に資することが明らかとなった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件)
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