研究課題/領域番号 |
20H04563
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
千島 亮 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (80252112)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脳波応用生活支援システム / 重度神経筋疾患者(児) / リハビリテーション工学 / 作業療法 / 聴覚刺激音 / P300型BCI / 支援技術 / assistive technology |
研究実績の概要 |
健常成人学生10名(平均年 齢22.4歳±1.10)について楽音による課題実施時のEEGを測定した.何れの課題においても同定できる目的成分導出が可能であった.「高さ弁別課題」では標的刺激後と非標的刺激後の最大陽性振幅値に有意差を認めたが,一部で非標的刺激後の振幅値で標的刺激後の振幅値を上回る傾向を示すことがあった.同分類の楽器でも奏法の違い等により解析結果は異なった.特にピアノ音は立ち上がり時間が極めて短く倍音が豊富に含まれることから,短時間提示(120 ms)でも「ピアノらしい音色」が提示可能であると判断して基音のみの純音と組み合わせた選択的注意課題も合わせて検討した.課題は音圧55 dBSPL程度に統一し,ピアノ音A4(440 Hz)とA5(880 Hz)を用いた「高さ弁別課題」,A4の純音とピアノ音を用いた「音色弁別課題」,ピアノ音A4と純音のA5を用いた「混合課題」の3課題とした.標的刺激と非標的刺激を入れ替え,各課題2条件で実施した.課題終了後,快不快の程度,好みの程度,難易度について5段階で主観的印象を聴き取った. ピアノ音は立ち上がり時間が極めて短く,倍音が豊富に含まれていた.短時間(120 ms)でも「ピアノらしい音色」が呈示可能であると判断し,純音と組み合わせた選択的注意課題としても検討した.何れの実験課題でもP300成分の同定が可能であり,「高さ弁別課題」では最大陽性何れの課題でもP300成分の同定が可能であっった.「高さ弁別課題」では最大陽性振幅値に有意差を認めた.楽音の音の高さごとの課題におけるP300の最大振幅値に有意差は認めなかった.また,最大陽性振幅値と主観的印象に相関は認めなかった.ピアノ音は不快感なく好まれる傾向にあり,刺激にピアノ音を用いることは,操作のモチベーション向上や,長時間使用時の負担軽減につながる可能性があると示唆される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
健常成人学生10名(平均年 齢22.4歳±1.10)について楽音による課題実施時のEEGを測定した.本年度においても研究被験者のリクルートに関して,学内での健常成人学生の公募と協力者の確保が難しい傾向にあった.解析結果の信頼性からも,より多くの被験者の確保が課題となる.
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今後の研究の推進方策 |
学内での健常成人学生の公募と協力者の確保が難しい傾向にあったことから,本年度最終年となるが,引き続き.解析結果の信頼性を向上させた被検者データの収集に努める.導出P300成分の解析をさらに進める.
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