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2020 年度 実績報告書

JSNS2実験によるJ-PARC物質生命科学研究施設ニュートリノ研究の発展と展開

研究課題

研究課題/領域番号 20H05624
研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

丸山 和純  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80375401)

研究分担者 末包 文彦  東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 教授 (10196678)
菅谷 頼仁  大阪大学, 核物理研究センター, 助教 (80324747)
明午 伸一郎  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究主席 (80354728)
長谷川 勝一  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (90391333)
川崎 健夫  北里大学, 理学部, 教授 (00323999)
研究期間 (年度) 2020-07-30 – 2025-03-31
キーワードニュートリノ / ステライルニュートリノ / 液体シンチレータ検出器
研究実績の概要

2021年度は、現存前置検出器の液体シンチレータの改良を行った。研究計画通り、ガドリニウム入り液体シンチレータ内に10%重量のジイソプロピルナフタレンを溶解した。この結果、宇宙線起因の中性子背景事象の除去率が10倍以上向上した。現存前置検出器は、2020年12月には物質・生命科学実験施設(MLF)に再設置し、6ヶ月以上の初長期物理ランを行った。取得したデータの解析を進めている。新しい改良電子回路については、デザイン・試験を進めている。
新後置検出器については、新後置検出器を含め2基の検出器を使用したJSNS2-II実験をJ-PARCに提案し、また、arXiv論文化した。ステライルニュートリノ探索に関する感度向上も含めたこの論文の提案を基に、2020年度内に、検出器設置場所、デザインも含めてJ-PARC物理アドバイザリー委員に物理意義を認められた。また、予定とおり、中国のDaya-Bay実験から33トンのガドリニウム入り液体シンチレータ、60トン弱のガドリニウム無し液体シンチレータの寄贈を受けた。実際の検出器建設については、図面等のデザインは終わったものの、コロナ禍による交付の3ヶ月遅れ、また建設会社の物品・人的資源の調達困難により、ステンレスタンクの作製が1年程度遅れることとなった。
加速器からMLFへのビーム運搬に関しては、最終段収束についての最適化を進めている。
3GeV陽子と水銀の衝突時のニュートリノの親粒子の生成断面積を測定するCERN-NA61については、実験参加に向け交渉を進めている。3GeV陽子も生成できるNA61の新ビームライン作製に向けた提案書を作成するため、JSNS2、JSNS2-II実験も努力する、ということで同意した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

既存前置検出器を用いた現行JSNS2実験については、予定通り長期データ取得を行い、液体シンチレータ改良を行う等、順調に計画を遂行している。データ解析も進めており、論文等も出版準備を進めている。
新後置検出器については、感度向上能力も含めた提案書や法律的な取り扱い等については進展は順調であるが、コロナ禍のため、交付の遅れ、物資・人的資源の調達困難などが重なり、新検出器の建設に関しては1年程度の遅れが生じている。また、コロナ禍は電子回路の調達等にも影響を与えている。
ビームの運搬の最適化については、現在最適化を進めており、2020年度には、0.6MWだったビーム強度を2021年4月には0.7MWに増強する予定である。
CERN-NA61実験については、実験参加に向けた準備を予定とおり進めており、また新低エネルギービームラインの作製の提案書をCERN提出に向け努力している。

今後の研究の推進方策

既存前置検出器1基での現行JSNS2については、長期データ取得を2021年6月まで継続し、次期ビーム期間である2021年末もしくは2022年初頭に検出器を再設置し、データ取得を継続する。解析結果がまとまり次第、論文化を行い、また、国際・国内発表を通じ成果を発表していく。また、電子回路の改良については、デザインは終えているため、試験の結果がデータ取得に耐えられるようになり次第、設置する。
新後置検出器については、建設、特にコロナ禍により1年遅れたステンレスタンクの作製を行う。既に寄贈を受けた液体シンチレータについては、実験開始まで保存を継続する。また、光電子増倍管の仏国Double-Chooz実験からの寄贈についての交渉を開始する。別途、J-PARC/KEKと、物理アドバイザリー委員会を通じた実験開始の本採択を目指す。MLFや消防と交渉を通じ、法律的な齟齬やMLF周辺の作業と干渉が無いよう、入念なJSNS2-II実験開始への準備を進める。1年程度予定が遅れているが、2023年度には実験を開始できるよう、ハードウエア、ソフトウエア、施設との交渉、法律的登録等の準備を始める。
ビームについては、加速器からMLFへの運搬の質を上げ、また最終段でのビーム収束の質を上げて、ビーム強度を更に増強できるよう努力を継続する。
CERN-NA61実験については、新ビームライン建設に向け、提案書の作成を行っていく。

  • 研究成果

    (22件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 4件、 招待講演 7件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] 成均館大学/全南大学/ソウル国立大学(韓国)

    • 国名
      韓国
    • 外国機関名
      成均館大学/全南大学/ソウル国立大学
    • 他の機関数
      7
  • [国際共同研究] ミシガン大学/ブルックヘブン国立研究所/ユタ大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      ミシガン大学/ブルックヘブン国立研究所/ユタ大学
    • 他の機関数
      1
  • [国際共同研究] サセックス大学(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      サセックス大学
  • [雑誌論文] JSNS2実験始動!2020

    • 著者名/発表者名
      日野陽太、菅谷頼仁、丸山和純、Jungsic Park
    • 雑誌名

      高エネルギーニュース

      巻: 39-3 ページ: 110-121

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Proposal: JSNS2-II2020

    • 著者名/発表者名
      S.Ajimura, S.Hasegawa, T.Kawasaki, T.Maruyama, S.Meigo, F.Suekane, Y.Sugaya, et al,
    • 雑誌名

      arXiv

      巻: 2012.10807 ページ: 1-17

    • オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] J-PARC物質・生命科学実験施設で行うステライルニュートリノ探索2021

    • 著者名/発表者名
      丸山和純
    • 学会等名
      日本物理学会年次大会シンポジウム「大強度陽子ビームが切り拓くニュートリノ・中性子・ミューオンの基礎物理」(招待講演)
    • 招待講演
  • [学会発表] JSNS2実験最初の長期物理ラン状況・展望とJSNS2-II実験展望について2021

    • 著者名/発表者名
      丸山和純
    • 学会等名
      日本物理学会年次大会(一般講演)
  • [学会発表] JSNS2実験最初の長期物理ランの状況 (2)2021

    • 著者名/発表者名
      百々拓
    • 学会等名
      日本物理学会年次大会(一般講演)
  • [学会発表] The JSNS2 experiment: the first long physics run (3)2021

    • 著者名/発表者名
      J.S.Park
    • 学会等名
      日本物理学会年次大会(一般講演)
  • [学会発表] The JSNS2 experiment: the first long physics run (4)2021

    • 著者名/発表者名
      D.H.Lee
    • 学会等名
      日本物理学会年次大会(一般講演)
  • [学会発表] Current status and plan of JSNS2/JSNS2-II2021

    • 著者名/発表者名
      D.H.Lee
    • 学会等名
      Neutrino Telescope 2021
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Searches for Light Sterile Neutrinos2020

    • 著者名/発表者名
      T.Maruyama
    • 学会等名
      東北大宇宙論セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] J-PARC MLFにおけるステライルニュートリノ探索実験 (JSNS2; J-PARC E56): 1st Run (1)2020

    • 著者名/発表者名
      丸山和純
    • 学会等名
      日本物理学会秋季大会
  • [学会発表] The JSNS2 experiment : The First Run - (2)2020

    • 著者名/発表者名
      J.S.Park
    • 学会等名
      日本物理学会秋季大会
  • [学会発表] J-PARC MLFにおけるステライルニュートリノ探索実験 (JSNS2; J-PARC E56): 1st Run-(3)2020

    • 著者名/発表者名
      日野陽太
    • 学会等名
      日本物理学会秋季大会
  • [学会発表] The JSNS22020

    • 著者名/発表者名
      J.S.Park
    • 学会等名
      計測システム研究会
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] JSNS22020

    • 著者名/発表者名
      T.Maruyama
    • 学会等名
      Snowmass Online Workshop
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] JSNS2 experiment2020

    • 著者名/発表者名
      S.Hasegawa
    • 学会等名
      NA61 online Workshop
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 物質・生命科学実験施設で行うステライルニュートリノ探索2020

    • 著者名/発表者名
      丸山和純
    • 学会等名
      J-PARC センター会議 サイエンストーク
    • 招待講演
  • [学会発表] 新種のニュートリノを探れ!~JSNS2実験のデータ取得をJ-PARCで開始 ~2020

    • 著者名/発表者名
      丸山和純、長谷川勝一、菅谷頼仁
    • 学会等名
      J-PARC報道機関向け合同記者会見
  • [備考] J-PARC MLF中性子源を用いたステライルニュートリノ探索

    • URL

      https://research.kek.jp/group/mlfnu/index.html

  • [備考] JSNS2 experiment (English)

    • URL

      https://research.kek.jp/group/mlfnu/eng/index.html

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公開日: 2022-12-28  

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