研究課題/領域番号 |
20H05640
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
瀧田 正人 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (20202161)
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研究分担者 |
さこ 隆志 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (90324368)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 宇宙ガンマ線 / 宇宙線 / 空気シャワー / ミューオン / ボリビア / sub-PeV / チェレンコフ光 / シンチレーション光 |
研究実績の概要 |
本研究では、南米ボリビアの標高4,740m地点に新しい宇宙線観測装置を建設し、南天では世界初の最エ高ネルギー領域(百兆から千兆電子ボルト:sub-PeV = 0.1 - 1 PeV)でガンマ線放射天体を観測する。そして、その親粒子となる千兆電子ボルト(1 PeV) 銀河宇宙線加速天体の正体という、宇宙線物理学の長年の謎を解明する。南半球からは、銀河系中心ブラックホールや多数の超新星残骸などの極限物理状態の天体が観測可能で、どの天体現象がどのエネルギーまで粒子を加速できるのかを明らかにすることを目的とする。複数の有力天体から統計的に有意なガンマ線信号を検出することが期待されており、1)南半球の新しい観測地で、重要な天体に対して長い観測時間を実現すること、2)地下ミュー粒子検出器により雑音となる宇宙線成分(主として陽子)を99.9 %除去できること、により研究の目的を達成する。約200台の1m2プラスチックシンチレーション検出器で構成される総面積約4万m2大型空気シャワー観測装置とその地下約2.5 mに総面積約2,800 m2の水チェレンコフ型ミュー粒子検出器を設置する。地表空気シャワー観測装置により、TeV領域以上の宇宙線(陽子が主成分)や宇宙ガンマ線のエネルギーと方向を決定する。ガンマ線起源の空気シャワーはほとんどミュー粒子を含んでいないが、宇宙線起源の空気シャワーは多数のミュー粒子を含むことに着眼し、地下ミュー粒子検出器でミュー粒子数を計測することにより、ガンマ線よりも数百倍程度以上多い宇宙線を激減する。地下ミュー粒子検出器により雑音となる宇宙線信号を100 TeVで99.9 %除去できることが期待される。本年度は、地下ミューオン検出器の設計や材料テスト、データ取集系エレクトロニクスの整備やソフトウェア開発等、観測装置の設置作業に必要な準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、地下ミューオン検出器の設計や材料テスト、データ取集系エレクトロニクスの整備やソフトウェア開発等、観測装置の設置作業に必要な準備を行った。コロナ禍の影響を受け、海外出張ができなかったために準備作業にやや支障をきたしたが、ボリビアの研究者や業者等とZOOMにより打ち合わせをすることにより、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
約200台の1m2プラスチックシンチレーション検出器で構成される総面積約4万m2大型空気シャワー観測装置とその地下約2.5 mに総面積約2,800 m2の水チェレンコフ型ミュー粒子検出器を設置する。そして、観測装置設置後に本格観測に入り、南天におけるsub-PeV領域ガンマ線天文学の開拓及びPeVatronの特定を目指す。地表空気シャワー観測装置により、TeV領域以上の宇宙線(陽子が主成分)や宇宙ガンマ線のエネルギーと方向を決定する。ガンマ線起源の空気シャワーはほとんどミュー粒子を含んでいないが、宇宙線起源の空気シャワーは多数のミュー粒子を含むことに着眼し、地下ミュー粒子検出器でミュー粒子数を計測することにより、ガンマ線よりも数百倍程度以上多い宇宙線を激減する。地下ミュー粒子検出器により雑音となる宇宙線信号を100 TeVで99.9 %除去できることが期待される。
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