研究課題/領域番号 |
20H05641
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
納富 雅也 東京工業大学, 理学院, 教授 (50393799)
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研究分担者 |
森竹 勇斗 東京工業大学, 理学院, 助教 (50783049)
小野 真証 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, ナノフォトニクスセンタ, 主任研究員 (80728197)
高田 健太 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子科学イノベーション研究部, 研究主任 (90786659)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | トポロジカルフォトニクス / ナノフォトニクス / フォトニック結晶 / 非エルミート光学 / メタマテリアル |
研究実績の概要 |
本研究では、構造を作製した後に動的に再構成可能な光トポロジー制御技術を実現することを大きな目的とし、この目的達成のために、(1)ナノ材料修飾によるナノフォトニクス構造の制御技術と、(2)非エルミート光学系を利用した制御技術を用いるアプローチをとっている。(1)に関しては、相変化材料GSTを三連結合ナノ共振器に装荷することにより、GSTの構造相転移により光共振器系のAnti-Parity-Time(反PT)対称相転移を起こす構造を考案、設計するとともに、GSTの光パルスによる相変化制御の実験を行った。また、GSTの相変化を利用したナノフォトニクス共振器、導波路の制御法を複数検討を開始した。(2)に関しては、グラフェン装荷による非エルミートフォトニック結晶の対称性制御により、例外点及びトポロジカル特異点が波数空間中を移動する様子の観測に成功した。さらに、二つの金属リングの結合した非エルミート光学系を用いて例外点でホイヘンス双極子を形成する構造を考案し、パラメータ制御により光の出射方向を反転できることを示した。また近年非エルミート物理系で注目されている非エルミートスキン効果が、対称性の壊れた非エルミートフォトニック結晶において発現することを見出し、同効果の実験的に観測に向けた検討を行った。またこれらと並行して新たな光トポロジカル物性の開拓に向けて、フォトニック結晶のDirac点を用いたゼロ屈折率状態や映進対称性を持つフォトニック結晶導波路の研究も開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、構造を作製した後に動的に再構成可能な光トポロジー制御技術を実現することを大きな目的とし、この目的達成のために、ナノ材料修飾によるナノフォトニクス構造の制御技術と、非エルミート光学系を利用した制御技術を用いるアプローチをとっているが、今年度は、相変化材料を用いた光トポロジー制御法を、反PT対称性などの複数の新たな構造に適用するとともに、光パルスによる制御等の実験手法の確立も行うことができた。また、相変化材料やグラフェンン度の機能材料を適用した非エルミート光学系に関して、複数の制御方法を提案、実証することができた。特に非エルミート系の例外点とトポロジカル特異点の波数空間における相関が明らかになってきている。また、ゼロ屈折率状態や映進対称導波路など新しいトポロジカル物性に関する取り組みも開始しており、計画全体として順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、相変化材料やグラフェンなどの機能材料を用いて、特に非エルミート系の特徴を利用したトポロジー制御の研究を展開させていく予定である。この研究では機能材料と半導体薄膜のハイブリッドな微細加工技術が重要となることから、その加工技術の高度化に向けても注力し、作製可能な構造のバリエーションを拡大する。非エルミート系に関しては、非エルミートスキン効果等の新奇な現象が我々がターゲットとする非エルミートフォトニック結晶で実現可能なことが分かりつつあるので、今後現象の探索および実験観測に向けた研究を加速する予定である。
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