研究課題
ナノ構造制御形成された酸化物半導体による超高感度皮膚ガス検出を実施した。1)酸化物半導体ナノ構造の制御形成本研究の遂行には100nm以下のサイズのナノ構造制御形成技術が不可欠である。これまでにレーザーアブレーションを用いたVLS(Vapor Liquid Solid)成長法により、ガス検出機能を有する各種酸化物半導体(ZnO、ITO、Ga2O3やWO3、Fe3O4など)のナノ構造形成を報告した。これらの知見に加えて、基板種および結晶面方位を選択した薄膜技術およびナノ加工技術を併用することでナノパターンの位置、サイズ、形状等を精密かつ再現性良く制御形成できることを実証した。(Frontiers in Sensors, DOI 10.3389/fsens. 2023.1170289) さらに、中間審査で得た助言に基づき、検出ガスの選択性、濃縮特性の鍵となる機能性多孔質材料(ゼオライト、金属有機構造体等)の専門家である研究者との共同研究も開始した。2)センサデバイス作製および体ガスリモート検出の実証半導体式ガスセンサは固体表面とガスとの反応によって生じる抵抗の変化をモニタすることで、各種ガスの存在やその濃度を計測した。一般に酸化/還元性ガスに対する反応性に富むn型半導体であるWO3、ZnO、SnO2、TiO2と、アンモニア等の窒化性ガスへの反応性に富むp型半導体Cu2Oを組み合わせた半導体式ガスセンサ作製した。1)で得られた知見をもとに複数(4種)の半導体センサを組み合わせたマルチセンサを作製し、複数混合ガス(アセトン、アセトアルデヒド、エタノール、アンモニア)を対象とした検出ガス信号をデータ科学(機械学習の一つである主成分解析により、ppbレベルの濃度ガスを繰り返し検出可能であることを実証した。
2: おおむね順調に進展している
研究計画および中間審査での助言に沿って研究及び実験を進めており、順調に進展していると考えられるため。
今後は、これまでに得た酸化物半導体ナノ構想と、検出対象ガスの選択的識別および濃縮効果が期待される機能性多孔質材料とのヘテロ構造を作製することで、さらなる性能向上を試みる。1)ガス選択識別材料の最適化現在実施中である、検出ガスの選択性、濃縮特性の鍵となる機能性多孔質材料(ゼオライト、金属有機構造体等)の専門家である研究者との共同研究をより推進し、健康状態および病態との関連の深い体ガスにフォーカスしたセンサ開発を実施する。2)超高感度(サブppb、pptレベル)ガスセンサの開発具体的には、機能性多孔質材料(ゼオライト)を用いて皮膚ガスを選択的に濃縮し、(b)濃縮した皮膚ガスをナノ構造制御した半導体式ガスセンサ開発。これら2つの機能を複合した複合機能(タンデム型)ガスセンサを開発し、麻薬犬/がん探知犬の嗅覚感度(10ppt)を超える超高感度ガスセンサ(電子鼻)の実現を目指す。酸化物半導体(WO3半導体やGa2O3半導体)のナノ粒子(数nmφ以下)集合体やナノワイヤにより、例えば微粒子化することによる表面積増大および、ガスセンサの極限高機能化に挑戦する。従来の酸化物半導体微粒子サイズは、最小でも数百nmで、スケールメリットにより感度3桁アップが試算され、サブppb、pptレベルの超高感度化達成を目指す。このセンサを用いたアルカン(アセトン等)、ベンゼン誘導体(アニリン)など(揮発性有機化合物)の予防医学関連の体ガスや、ノナナール(肺がん),メチルメルカプタン(大腸がん)等の疾患関連の体ガスの網羅的データ解析を行う。これらにより、従来感覚や経験に依存し、数値化・客観性が困難なため本格的な医工学応用が不十分であった健康状態/病態と皮膚ガスとの相関における学術基盤を構築する。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (47件) (うち国際学会 17件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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