研究課題/領域番号 |
20H05656
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
船木 一幸 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (50311171)
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研究分担者 |
渡邊 裕樹 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (30648390)
大塩 裕哉 龍谷大学, 先端理工学部, 助教 (80711233)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 航空宇宙工学 / プラズマ・核融合 / 宇宙機推進 / ホールスラスタ / ホローカソード |
研究実績の概要 |
宇宙活動が太陽系内そしてその外の領域へと拡張していくためには、宇宙機が軌道変換するための能力を一層向上させることが求められ、一例として火星圏への往復航行や外惑星への周回ミッションでは、宇宙機推進に対して40~50km/sまたはそれ以上の排気速度が必要となる。本研究では、実験的手法により高電圧ホールスラスタの排気速度と特性を評価し、排気速度40~50km/sが可能かどうかを直接的に検証することを目的としている。本年度は、初の高電圧ホールスラスタ実験を行う「初期試験フェーズ」の研究を実施し、ホールスラスタ実験・ホローカソード開発・探査システム検討の3点で成果が得られた。 ホールスラスタ実験では、スラスタは直径2m長さ3mの宇宙航空研究開発機構(JAXA)中型真空チャンバー内の推力測定スタンド上に設置され、推力から平均排気速度が、また、プラズマジェット中に配置するラングミュアプローブ計測により密度・温度・空間電位等の情報を得た。通常のホールスラスタ動作である200-300Vでの特性(排気速度で13-14 km/s程度)に対し、高電圧動作において700V(最大で20 km/s)までの動作に成功した。ホローカソードについては、低電流域で動作可能なカソードの新規開発を行い、10A以下でも安定動作が可能であるなど優れた特性が得られた。また、外惑星探査のためのシステム検討にも着手し、地球から火星、木星への大規模輸送や火星等への往復航行においてホールスラスタの利用が適していることを示す初期検討結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定された試験項目が概ね完了したため。
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今後の研究の推進方策 |
高電圧ホールスラスタ実験を行う「初期試験フェーズ」の研究を継続し、ホールスラスタ実験・ホローカソード実験・探査システム検討のそれぞれでの成果を得る。
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