研究課題/領域番号 |
20H05659
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柴田 直哉 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (10376501)
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研究分担者 |
関 岳人 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (90848558)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 走査型透過電子顕微鏡 / 電磁場 / 界面 / 磁性材料 / 鉄鋼材料 |
研究実績の概要 |
本年度は、主にDPC STEMによる原子磁場定量解析手法の開発を行った。具体的には, 新開発の40分割型STEM検出器を用いた電子回折図形の重心定量検出法を実際の装置のオペレーションソフトウエアに実装し、40分割型検出器を用いた定量DPC実験解析を行うことのできる環境を構築した。また、マルチスライス法による理論計算との比較により、40分割型検出器を用いた近似重心検出法によって、ピクセル型検出器と遜色のない電磁場計測の定量性を得ることが可能であることがわかった。また、局所磁場の影響を像シミュレーション用の原子ポテンシャルに導入し、マルチスライス計算を用いた原子分解能DPC STEM理論計算手法を開発した。これにより、DPC STEM像を局所磁場の影響も含めて定量的に評価することが可能になった。更に、DPC信号から原子レベルの電場・磁場の分離を行うための画像処理手法の開発を行い、反強磁性体についてはDPC像から原子レベルの電場・磁場信号の分離が可能であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた磁場の影響を考慮した原子分解能DPC STEM像理論計算手法の開発に成功し、DPC STEMによる原子磁場定量解析手法を確立できた。また、原子レベルの電場・磁場の分離に関する画像処理手法の開発も予定通り進んでいる。よって、研究は順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度確立したDPC STEMによる原子磁場定量解析手法を用いて、非常に弱いとされる原子磁場の定量観察を様々な磁性材料に対して実験的に実現することを目指す。また、超高分解能磁気ダイナミクスその場観察手法の開発や磁性材料界面応用研究等にも展開し、材料局所構造と磁気・磁区構造との相互作用メカニズムの本質的な解明を目指す。
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