研究課題/領域番号 |
20H05679
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
妹尾 啓史 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40206652)
|
研究分担者 |
増田 曜子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (80813237)
伊藤 英臣 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (70748425)
早川 智恵 宇都宮大学, 農学部, 助教 (10725526)
藤原 徹 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (80242163)
大森 良弘 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (20398390)
小暮 敏博 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (50282728)
|
研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
|
キーワード | 鉄還元菌窒素固定 / 水田土壌 / 窒素供給力 / 窒素肥沃度 / 低窒素農業 |
研究実績の概要 |
[Ⅰ.水田土壌における 鉄還元菌窒素固定の学術基盤解明 ] 1.鉄還元窒素固定菌の微生物生態学的基盤:鉄還元窒素固定菌の分離株の性状解析を行い、新規鉄還元菌を報告した。また、ゲノム解析を行い、Geobacteralesの系統分類を整理し、窒素固定遺伝子情報を拡充した。世界の各種土壌のメタゲノムデータ解析を行い、鉄還元菌由来の窒素固定遺伝子の分布を明らかにした。 2.鉄還元菌窒素固定の土壌窒素供給力への寄与:農業用鉄粉を散布した水田土壌を用いて15N2-Stable Isotope Probingを実施した。鉄還元菌が水田土壌における窒素固定のキープレーヤーであり、その窒素固定活性は鉄粉の散布により増強されることが示された。 3.鉄還元菌窒素固定を制御する環境要因:稲わらが水田土壌の窒素固定の制御要因の一つであることを見出した。13C-稲わらを用いたSIP法により鉄還元窒素固定菌が稲わら由来炭素を取り込んでいることを明らかにした。根圏土壌中の鉄還元菌の割合を増加させるイネ遺伝子の存在を示した。水田土壌に元来存在する鉄鉱物の形態と分布を各種の分析法により明らかにした。 [Ⅱ. 鉄還元菌窒素固定の低窒素農業への応用 ] 1.鉄化合物による鉄還元菌窒素固定の活性強化(室内実験)、2.低窒素肥料水稲生産の実証(圃場試験):水田土壌ミクロコズム実験から、ferrihydrite等の低結晶性鉄化合物が鉄還元菌窒素固定の高い増強効果を示し、低結晶性鉄鉱物量を高く維持すると鉄還元菌窒素固定活性は持続的に増強できることが考えられた。水田圃場において農業用鉄資材を散布して水稲を栽培する試験を継続した。鉄資材の施用におり土壌の窒素固定活性が高まり、イネの生育と収量が増加した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施予定の研究計画の各項目について研究を進めている。土壌における稲わらの分解過程を解析するための実験系の構築に予定よりも時間を要したことを除いては、順調に研究が進展して成果を得ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画の各項目と実施内容に変更はなく、計画通りに推進していく。
|