研究課題/領域番号 |
20H05695
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中内 啓光 東京大学, 医科学研究所, 特任教授 (40175485)
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研究分担者 |
水野 直彬 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (30815642)
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 造血幹細胞 / ex vivo増幅 / クローナル造血 / CRISPRgRNAスクリーニング |
研究実績の概要 |
マウス造血幹細胞長期培養後において造血幹細胞機能と相関する細胞表面マーカーを評価しこれを同定した。また、培養条件の最適化によって造血幹細胞分画のさらなる増殖が得られた。新たに同定した培養後造血幹細胞分画を用いてRNAシークエンスを用いた網羅的遺伝子発現解析を開始しており、現在解析を進めている。 マウス造血幹細胞の長期培養により遺伝子変異が集積するかを評価するため、造血幹細胞を2ヶ月間培養し、遺伝子変異の集積をwhole exon sequencingを用いて経時的に評価したところ、長期の造血幹細胞の培養が遺伝子変異の蓄積と相関することが明らかとなった。 造血幹細胞の網羅的遺伝子ノックアウトスクリーニングとしてCas9タンパク質を発現する遺伝子改変マウスから造血幹細胞を採取し長期培養によって増殖しノックアウトスクリーニングを行った。同時にCRISPR gRNAライブラリー導入後に造血幹細胞移植を行い、レシピエントマウス体内で再構築されたドナー血液細胞中のgRNAの頻度の解析から、生体内での再構築能に影響を与える遺伝子ノックアウトの探索を行っている。得られた候補遺伝子のノックアウトによって表現型が得られるかの確認を進めている。 これまで得られたマウス造血幹細胞を用いた培養方法最適化の知見をヒト造血幹細胞に応用したところ、ヒト臍帯血CD34陽性細胞は2-3週間程度その幹細胞性を維持したまま培養、増殖が可能であることが確認できた。さらに培養後造血幹細胞の表面抗原マーカーの発現においてヒト臍帯血CD34陽性細胞とマウス造血幹細胞とで同様の表面タンパク質の発現が確認できた。さらなる培養の最適化を進めるとともに、その他の表面抗原マーカーがヒト造血幹細胞の培養においても有効なマーカーとなりうるかどうか検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は予定通り順調に進んでおり、全ての課題において進捗を確認しているため期待通りの成果が見込まれる。 (1) マウス造血幹細胞の長期培養増殖後の細胞の性状解析と培養系のさらなる最適化。長期培養後した増幅したマウス造血幹細胞をフローサイトメトリー解析し、Endothelial cell protein C receptor (EPCR: CD201)の発現が造血幹細胞機能と相関することを同定した。EPCRをマーカーとして用いて造血幹細胞培養条件のさらなる最適化を進めたところ、低酸素状態での培養によって造血幹細胞の増殖がさらに増強されることが見出された。 (2) マウス造血幹細胞の長期培養による遺伝子変異集積ならびにクローナル造血の解析。1ヶ月以上の培養によってクローナル造血を引き起こす幹細胞に追加の遺伝子変異が蓄積することを明らかにした (3) CRISPR gRNAライブラリーによる白血病細胞関連遺伝子のスクリーニング。造血幹細胞を用いたゲノムワイドなノックアウトスクリーニング方法を確立した。 (4) ヒト造血幹細胞の同定とex vivo増幅法の開発。マウス造血幹細胞の培養条件をヒト造血幹細胞用に最適化することで、現在ヒト臍帯血CD34陽性細胞から二週間培養、増殖が可能であることが確認された。
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今後の研究の推進方策 |
マウス造血幹細胞の長期培養法の改良で真に機能的な造血幹細胞が増殖したかを評価するため造血幹細胞移植による機能アッセイやRNAシークエンスを用いたマルチオミクス解析を行い、培養条件のさらなる最適化を進める。また、クローナル造血遺伝子変異を導入し長期培養を行った造血幹細胞を用いて造血幹細胞移植を行い、造血器腫瘍が発症の有無を評価するとともに造血幹細胞機能に影響を与える遺伝子変異についてCrispr-Cas9システムとAAV6を用いた遺伝子編集技術を活用して同定する。さらには、CRISPR g RNAライブラリーによるノックアウトスクリーニングを造血幹細胞移植条件下にて行い、生体内での造血幹細胞機能に影響を与える遺伝子を同定する。これらを踏まえて、マウス造血幹細胞の培養条件の最適化の知見をヒト造血幹細胞の培養に応用し、ヒト造血幹細胞培養条件のさらなる最適化を進める。
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