研究課題/領域番号 |
20H05704
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石川 正俊 東京大学, 情報基盤センター, 特任教授 (40212857)
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研究分担者 |
妹尾 拓 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (10512113)
早川 智彦 東京大学, 情報基盤センター, 特任准教授 (10747843) [辞退]
黄 守仁 東京大学, 情報基盤センター, 特任講師 (20750029) [辞退]
宮下 令央 東京大学, 情報基盤センター, 特任講師 (40808721)
末石 智大 東京大学, 情報基盤センター, 特任講師 (80807842) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 高速画像処理 / 情報環境システム / 知覚情報処理 / 視覚呈示 / 力覚呈示 |
研究実績の概要 |
本年度の研究成果をサブテーマごとに以下に示す. (A)高速知覚情報処理技術の確立:A-1)前年度の評価結果等によって,高い整合性の3Dモデル復元手法を開発し,手持ちでシステムを操作する場合,1,000fpsの計測は十分に高速だと明らかにした.A-2)運動情報計測アルゴリズム群の動作検証と評価を行い,高速3次元形状計測と形状統合へ応用した.また,画像処理とレーザー計測の連携を目指したデバイスを開発し,3次元形状計測では高密度・高精度を達成可能と確認した. (B)高速情報・力覚呈示技術の確立:B-1)回転可視化を含む球体への投影システムを改良・実現した.また,複数の赤外波長による500fps高速撮像システムを新規開発し,計測誤差と投影像品質の関係を検証した.B-2)力覚フィードバック生成に伴う反力の影響を避けるため,両腕同期型力学呈示手法を提案した.また,力覚呈示による人間機械インタラクションの実証実験を行った. (C)高速知覚情報処理の基盤強靭化技術の確立:C-1)装置を改良し,動的かつ面積を必要とするタスクへ対応させた結果,動的対象のトラッキング時におけるパフォーマンスの変化の指標を得た.C-2)高速カメラネットワークにおける同期撮像精度を画像情報から直接求めるアルゴリズムを提案し,評価実験を行なった結果,サブフレーム(1ms)以下の定量的な同期精度評価が可能であることを確認した. D)時空間インタラクションにおける違和感の打破:D-1) B-1)で提案された高速視線計測結果を投影像に高速かつ幾何学的整合性を伴って反映するシステムを開発し,眼球運動に対しシステム遅延時間8.4msの低遅延性を確認した.D-2)情報量の多い視覚呈示のほかに,B-2)で提案した人間両腕同期動作を利用した力覚呈示も加えることで,人間機械インタラクションおよび動作支援の実証実験を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた研究環境における研究内容の実施が順調に進み,各研究のサブテーマ間の連携も進んだことで,当初の計画以上に発展した.一方で,新型コロナウィルスの影響で国際学会や協力機関等への出張を想定通りにできなかったため,情報交換・現地調査・現地実験の不足が生じただけでなく,半導体不足による物品の超納期化も生じたため,一部で研究計画の修正を行った.新たな研究計画では,事由の発生した10月以降に該当機材を利用しないシステム開発を先行して実施することで,遅れの影響を極力回避することができた.最終的に,システムの検討期間・検討内容に厚みを持たせた状態で新年度に該当機材を用いたシステム開発・評価を行うことができただけでなく,計画変更の過程で新たに発見した研究にも取り組んだ結果,当初の計画を上回る成果を得られた.具体的に,サブテーマA)人間の視覚を超えた高速知覚情報処理技術の確立では,デフォーマブルミラーを利用した移動対象の移動速度と奥行きを補償しながら撮影する手法を提案し,国際論文誌に採択された.サブテーマB) 人間の動作をシームレスにサポートする高速情報・力覚呈示技術の確立では,インテグラルフォトグラフィによる省スペース・広視野な3次元像形成技術を別途開発した.サブテーマC) 高速知覚情報処理の基盤強靭化技術の確立では知覚に関する被験者実験における一対比較法を高精度に行う方法を提案し,妥当性を確認し,国際学会の原稿として採択された.
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今後の研究の推進方策 |
人間の視覚を超えた高速知覚情報処理技術の確立を目指して,1)3次元形状計測によって生成したモデルを用いて,トラッキングを安定化するアルゴリズムを開発する.また,追加計測データを統合し,モデルデータ自体の高精度化を行う.2) レーザー走査方法,高速トラッキングアルゴリズム,レーザー照射被写体における仮定の再検証に取り組んだことで,前年度までに構築したシステムを広域化対応させる. 人間の動作をシームレスにサポートする高速情報・力覚呈示技術の確立を目指して,1) 前年度までに構築した計測システム・投影アルゴリズムを用いた動作支援的投影システムのプロトタイプを構築する.2) これまで構築した力覚提示手法などを利用し,極端に異なる帯域でセンシング・制御・動作する機械と人間のダイナミックインタラクション手法を確立する. 高速知覚情報処理の基盤強靭化技術の確立を目指して,1) 映像遅延制御装置から入力映像に基づく任意映像の生成及び照射を目指し,身体変容の拡張を行う.低遅延のCGレンダリングを検討することで,時空間領域にまたがる情報呈示による影響を検討する.2) カメラネットワークにトラッキングアルゴリズムを統合し,人波トラッキングシステムのプロトタイプを構築する.加えてシミュレーションによる理想環境での性能評価を行う. 次世代情報環境システムによる時空間インタラクションにおける違和感の打破を目指して,1) 実際の応用システムを意識した高速トラッキング系を用いて,高速プロジェクタ等と組み合わせた予測情報呈示のプロトタイプシステムを構築する.2)視覚・力覚呈示などを含む多感覚呈示或いは外発による人間支援システムを構築した.また,センシング系と情報・力覚呈示系を統合し,システム全体の遅延特性と時空間密度について定量的に解析する.
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