研究課題
本研究課題では、心的イメージを脳活動パターンから客観的に可視化するための方法の開発と検証実験を進めている。主観知覚を可視化する最初の成果として、注意による見えの違いを画像として再構成する手法について論文をまとめ発表した。また、心的イメージ可視化を効率するための手法として研究してきた脳コード変換器についても、論文発表を行った。この手法により、限られたデータでも、詳細な視覚特徴表現を保持しながら脳活動パターンを被験者間で変換することが可能になり、統制がむつかしい想起や夢の解析での活用が期待される。現在進行中のプロジェクトでは、錯視画像を見ているときの知覚像の再構成(画像化)について検証用データを取得した。大部分の被験者で予備実験で観察された主観的知覚像(錯視像)の可視化が確認できた。錯覚は、脳が限られた感覚入力からどのように世界を推測しているかを浮き彫りにするもので、これまでの研究では、視覚皮質活動が全体的な錯覚体験をどのように表現されているか知られていなかった。主観的輪郭とネオンカラーの再構成画像は、錯視体験と一致し、かつ、主観的輪郭とネオンカラーの表現は、視覚皮質領域の違いによって異なることがわかった。睡眠実験については、ベルソムラを用いて入眠時REMを誘発する方法を確立し、データ取得を行った。大規模言語モデルを用いた主観報告の解析と、想起時の脳活動との比較を行った。その他、課題で開発した解析手法を、ECoG計測や異なる生物種に適用した成果を発表した。
2: おおむね順調に進展している
本研究プロジェクトは全体として順調に進展しているが、MEGデータの取得・解析については、担当者が、別プロジェクトのためにあまり時間が取れず、やや進捗が遅れている。2022年度中に京都大学のWang Haibao、村木優介、小野尾俊介、Yu Yawei、司 怜央、前野彩実がメンバーとして加わり、実験・解析のサポートに従事した。
当初の計画に従って研究を進めるとともに、進展著しいAI分野で開発される新しいモデルを取り入れ、更に高度な可視化技術の実現を目指す。脳コード変換機を用いて、fMRIデータで訓練したモデルを、他のモダリティに拡張する。
すべて 2023 2022 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 6件、 招待講演 9件) 図書 (2件) 備考 (1件)
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