研究課題/領域番号 |
20J00178
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
久野 真純 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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キーワード | 森林生態系 / 気候変動影響 / 生物多様性 / 森林組成 / 機能的多様性 / 構造的多様性 / 森林生産量 / 植物機能形質 |
研究実績の概要 |
カナダの大規模長期森林モニタリングデータを解析し、「気候変動よってもたらされる森林の機能的組成シフトは、空間的な気候の違いによって異なるか」ということを調べた。とくに、「機能的組成シフトの速度は、温暖な地域(南部冷温帯林)よりも、寒冷な地域(高緯度北方林)においてより速い」という仮説を、ベイズ統計モデルによって検証した。本研究は、カナダ・レイクヘッド大学、およびドイツ・ブランデンブルク工科大学の研究協力者とともに進めた。 「環境変化が森林の生物多様性に与える影響」の課題を拡大させるため、国内で行うフィールド実地調査の計画を受入教員である曽我昌史准教授とのディスカッションを通して進めた。「森林の分断化による生物多様性、および生態系サービスの低下は、樹木の多様性により緩和される」という課題で研究計画書を執筆した。受入機関の研究室定期ゼミにて計画内容と文献レビューの発表を複数回行った。 カナダの大規模長期森林モニタリングデータを解析し、「気候変動が北方林の生態系機能に与える影響は樹木の機能的多様性および構造的多様性を高めることで緩和、もしくは促進される」という仮説を線形混合モデルを用いて検証した。本課題は、受入教員およびオンタリオ州天然資源管理省の研究協力者と行った。 日本生態学会にて「カナダにおける気候勾配が樹木の機能的多様性とバイオマス動態の関係性に与える影響」という題で口頭発表を行った。また、日本森林学会奨励賞を受賞し、「樹木の多様性は、過去半世紀間の気候変動による北方林の成長量増加を増大させ、枯死量増加を軽減させる」という題で受賞記念講演発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初のテーマ「気候変動が生物多様性に与える影響」についてはコロナ感染症拡大のため進行が遅れており、データ編さん過程にとどまってしまったため。一方、研究協力者の協力のもと本テーマを新たに発展させることができ、それに関連する研究「気候変動が森林組成に与える影響」、および「生物多様性が気候変動影響を緩和するメカニズム」に関する研究が進行し始めてているため。
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今後の研究の推進方策 |
投稿中の「気候変動が森林組成に与える影響」のトピックについて、年度内はじめに出版する方針とした。さらに、投稿準備中の「生物多様性が気候変動影響を緩和するメカニズム」のトピックについて、年度終わりまでに投稿する方針とした。合わせて「生物多様性が気候変動影響を緩和するメカニズム」のトピックに関する地理的範囲の拡大、およびデータ編さんを年度内に進める方針とした。 年度末に開催れる日本生態学会において、「気候変動が森林組成に与える影響」のトピックに関する研究成果を口頭発表する方針とした。
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