研究課題/領域番号 |
20J00278
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
堀江 良子 筑波大学, 生命環境系, 特別研究員(PD) (90894907)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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キーワード | ホヤ / 単一細胞トランスクリプトーム / 神経細胞 / 細胞分化 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、ホヤ幼生の中枢神経系全体においてGABAニューロンを生み出す分子機構を明らかにし、他のニューロンの分化機構と比較することにより、中枢神経系においてサブタイプが異なるニューロンを生み出す分子機構を解明することを目指した研究である。 単一細胞トランスクリプトーム解析の結果、尾部に存在する双極型感覚神経細胞(BTNs)がGABA神経であることが分かった。BTNsで発現する転写因子としてPOUIVを同定した表皮細胞全体でPOUIVを過剰発現させた胚において、単一細胞トランスクリプトーム解析を行ったところ、異所的に分化した神経細胞群は、BTNsと似た遺伝子発現パターンを示すことが分かった。POUIV過剰発現胚において、発現が上昇した転写因子としてNeurogeninを同定した。POUIVの機能阻害を行うとBTNsにおけるNeurogeninの発現は消失した。一方、Neurogeninの機能阻害を行うとBTNsにおけるPOUIVの発現は失われ、BTNsは消失した。これらの結果から、両者がお互いを活性化するフィードバックループがBTNsの分化に重要である可能性が示された。続いて、Neurogeninのエンハンサー解析を行い、BTNs特異的な最小エンハンサー250bpを同定した。このBTNs特異的最小エンハンサーにはPOUIV結合配列が8個存在していた。この8個のPOUIV結合配列に変異を導入すると、BTNsにおけるレポーター遺伝子の発現は消失した。以上の結果から、POUIVがNeurogeninの遺伝子発現を活性化していることが明らかとなった。本研究により、POUIVおよびNeurogeninがお互いを活性化するフィードバックループがBTNsの分化に重要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
前年度はホヤ幼生に存在するGABA神経のうちEminense細胞の分化機構を解明し、今年度は尾部に存在するGABA神経である双極型感覚神経細胞(BTNs)の分化機構を解明し、着実に研究目標を達成しているため。
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今後の研究の推進方策 |
ホヤ幼生に存在するGABA神経のうち、運動神経節に存在するGABA神経の分化機構を今後は明らかにしたい。
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