研究課題/領域番号 |
20J00497
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
藏滿 司夢 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 特別研究員(PD) (10826986)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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キーワード | multiparasitism / 寄生蜂 / 寄生バチ / ギンケハラボソコマユバチ / カリヤコマユバチ / アワヨトウ / 植物二次代謝産物 |
研究実績の概要 |
植食性昆虫に寄生する寄生蜂類は、寄主が食べる植物の種類によって子の生存率(=寄生成功率)が異なることが知られている。これは寄主体内にいる寄生蜂幼虫が、植物由来の毒物質(植物二次代謝産物)の影響を受けるためである。また、寄主に複数種の寄生蜂が同時に寄生したときに(これをmultiparasitism という)、寄生蜂間で競争が生じ、一方のみが生き残ることも知られている。毒物質に対する感受性は寄生蜂の種によって異なるため、寄主個体内での寄生蜂種間の競争は、寄主の餌植物種や、毒物質の影響を受けると推測される。 本研究は、植食性昆虫の餌植物種やその毒物質が、寄生蜂の種間競争に及ぼす影響とそのメカニズムを明らかにし、植物と寄生蜂の間接的な相互作用を明らかにすることを目的とする。 初年度となる本年度は、まず、実験材料となるアワヨトウ(チョウ目:ヤガ科)、カリヤコマユバチ(ハチ目:コマユバチ科)、ギンケハラボソコマユバチ(ハチ目:コマユバチ科)をそれぞれ鹿児島県もしくは茨城県のトウモロコシ畑もしくはソルゴー畑において採集し、市販の人工飼料を用いた飼育系を確立することに成功した。また、これらを材料に、飼育環境下で multiparasitism させる手法を開発した。これにより、翌年度以降に寄主昆虫の餌植物や餌に含まれる毒物質が multiparasitism 状況下での寄生蜂への影響を評価する手法が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では年度中に寄主の餌植物種が multiparasitism 条件下での寄生蜂の種間競争に与える影響の評価まで終える予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響で実験材料採集のための出張および出勤が長期にわたって制限されたため、計画が大幅に遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、寄主の餌植物種が multiparasitism 条件下でのカリヤコマユバチとギンケハラボソコマユバチの種間競争に与える影響の評価を行う。また、アワヨトウの際に同時に捕獲された他種の鱗翅目昆虫における寄生蜂間競争についても並行して進める予定である。
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