研究課題/領域番号 |
20J00802
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大山 倫弘 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD) (00807034)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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キーワード | ガラス物理 / 生物物理 / Active matter / 非平衡臨界現象 |
研究実績の概要 |
本研究課題では細胞質ガラスのActiveな流動化現象についての物理的な理解を目標としている.研究をすすめる中で申請者はそもそもガラスの流動化という現象そのものについての理解が未だ十分には得られていないことに気が付いた.そこで,本年度は上記目標達成のための予備的な検討として,これまで多くの研究が行われてきたせん断外場の下で流動化されるガラスを対象に,その流動化のようすの理解を目指した.結果,主には以下の二つの成果を得た. まずは,ガラスの流動化に伴う力学的応答の変化の様子,いわゆるレオロジー応答のようすを降伏臨界性という非平衡臨界性の一種の観点で理解することに成功した.特にこの研究ではHerschel-Bulkley則と呼ばれる普遍的な力学法則の構造起源を明らかにすることに成功した.Herschel-Bulkley則は1926年に発見されて以降様々な系で普遍的に成立することが明らかにされてきた一方でその構造起源については不明なままであった. また,ガラス転移の類似現象であるジャミング転移と流動化の関係についても調べた.ジャミング転移とはマクロな粒子が高濃度で示す創発的な剛性発現を指す.せん断により流動化されるマクロ粒子濃厚系が示す種々の量のゆらぎのようを解析し,適切に定義した感受率がIsing模型のような平衡臨界現象と同様の振る舞いを示すことを数値的に示した.つまり,ジャミング転移という非平衡相転移の一種が平衡臨界現象と似た性質を示すことを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時点とは異なる方向性ではあったが,最終的な目標の達成に資する研究成果が得られたため,こうした評価とした. 具体的にはガラスが非熱的なゆらぎ,特にせん断外場により流動化する際に観察される種々の特性を非平衡臨界現象の観点で理解することに成功した.
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今後の研究の推進方策 |
本年度はせん断外場の下で流動化されたガラスの性質について主に非平衡臨界性の観点で理解をすすめることに成功した.今後は同様の検証を非自走粒子型Activeガラス系でも行い,外場による流動化とActiveなゆらぎによる流動化の間の定性的な類似性・相違点にいて検討する. そもそもActive系でもせん断系と同様の臨界的挙動が観察されるか?という大きな問が存在するが,こうした問も含めてこれまでの研究で培ってきた手法により本年度の研究目標は達成可能と見込まれる.
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