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2020 年度 実績報告書

氷期を生き延びた遺存植物の気候変動に伴う分布変遷の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20J00825
研究機関東京農工大学

研究代表者

設樂 拓人  東京農工大学, 大学院農学研究院, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2023-03-31
キーワード氷期遺存種 / 気候変動 / 第四紀 / 分布変遷 / 分布予測モデル / 隔離分布
研究実績の概要

日本列島の冷温帯域には、北東アジアの大陸部と共通する氷期遺存種と呼ばれている樹木種群が特異的に隔離分布している。これらの種群は、今後起こりうる温暖化に対して非常に脆弱である可能性が高い。本研究では、氷期遺存種の国内における分布や生態を把握・整理するとともに、分布予測モデルを用いて気候変動に対する分布変遷のメカニズムを解明することで、将来の温暖化に対して優先的に保全すべき種、集団、逃避地となりうる場所を明らかにする。
本年度は氷期遺存種とされているチョウセンミネバリ(カバノキ科)の分布把握と生育環境の調査を行なった。本種は北東アジア大陸部に広域分布し、日本では本州中部山岳部にのみ分布していることが知られていたが、その分布範囲は十分に明らかになっていなかったため、既存資料の整理、現地での踏査を行い、国内における分布の調査を行なった。その結果、本種は山梨県、栃木県、長野県、岐阜県に隔離的に分布していた。
さらに、チョウセンミネバリが生育する森林において植物社会学的手法による植生調査を行い、チョウセンミネバリがどのような森林植生に生育しているのかを調査した。その結果、4つの群落タイプに分類された。すなわち、(1)ヤシャブシなど先駆性樹木が優占する落葉広葉樹林、(2)ウラジロモミやツガなどからなる常緑針葉樹林、(3)トチノキ、ブナ、ミズナラなどが優占し、斜面中部から谷沿いに成立する落葉広葉樹林、(4)サワグルミ、カツラ、オヒョウといった渓谷沿いに成立する落葉広葉樹林である。また、日本のチョウセンミネバリ林と北東アジア大陸部の森林植生の種組成を比較した結果、共通種は極めて少なく、その種組成は大きく異なっていることが明らかになった。この研究結果は日本植生学会誌にて公表予定である(印刷中)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度はコロナウイルス感染症拡大の影響により、調査地が本州中部地域に限定されたものの、対象種とするチョウセンミネバリの分布調査や植生調査を行うことができた。また、その他の対象種についても分布予測モデルを構築するためのデータ収集、解析を進めており、進行状況はおおむね順調と言える。

今後の研究の推進方策

これまでの調査で蓄積した氷期遺存種の分布データをもとに、分布予測モデルを構築し、氷期遺存種の最終氷期から現在にかけての気候変動に対する分布変遷メカニズムについて論文化を中心に研究成果の公表をめざす。また、今年度に分布調査が実施できなかった地域を中心に調査を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 本州中部山岳における最終氷期の遺存植生チョウセンゴヨウ林とチョウセンミネバリ林の植物社会学的位置づけとその分布変遷2020

    • 著者名/発表者名
      設樂拓人
    • 学会等名
      植生学会第25回大会

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公開日: 2021-12-27  

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