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2020 年度 実績報告書

依存症とその再発に関する心理学的メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20J00921
研究機関早稲田大学

研究代表者

藤巻 峻  早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2023-03-31
キーワード依存 / 習慣 / 目的的行動 / 復元効果 / 消去 / 道具的(オペラント)条件づけ
研究実績の概要

今年度は、目的的行動と習慣行動の成立に寄与する諸要因の再現実験に取り組んだ。一般的に、目的的行動と習慣行動を峻別する際には、報酬の価値を低下させる操作(低価値化)を行う。低価値化には主に、ある行動を維持していた報酬を実験セッション前に摂取させる事前給餌と、報酬を摂取させたあとに塩化リチウム(LiCl)などの不快感をもたらす薬物を投与する方法とがある。こうした処置によって道具的行動の頻度が低下した場合は目的的行動、低下しない場合は習慣行動であると判断される。一連の実験を通じて事前給餌の場合には習慣行動が検出できなかった一方で、LiClの投与では検出することができた。したがって、低価値化の方法によって習慣行動を検出することができない場合があるという結果が得られた。
先行研究では道具的行動の訓練量や、道具的行動に対する報酬の提示規則(強化スケジュール)の操作が、習慣形成に寄与することが明らかにされている。ラットを用いた行動実験で、訓練量が多くなるほど習慣形成が促進されやすいという結果は再現することができた。その一方で、強化スケジュールの操作、すなわち変動比率(VR)スケジュールよりも変動時隔(VI)スケジュールの方が習慣形成につながりやすいという結果は再現できなかった。
これらの結果をもとに、復元効果(renewal effect)という現象を通じて、消失した目的的行動と習慣行動が、その後どのようにして再出現するかを検証している。現状では、習慣行動の場合は消失後に顕著な再発が見られるが、目的的行動の場合には再発がしにくい、あるいは再発しないという予備的な結果が得られている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は海外渡航の計画であったが、新型コロナウイルスの影響で渡航を断念し、計画を変更して国内の受け入れ研究室で研究を行った。4月から9月までの期間は研究室への立ち入りが制限されたこともあり、実験実施のための準備や使用できる実験動物数も制限され、当初の計画通りに研究を遂行することができなかった。

今後の研究の推進方策

次年度は、今年度のような制限によって研究の遂行が妨げられるリスクは大きく低減しているため、複数の実験を同時進行させて遅れを取り戻す予定である。現時点で、同時進行させるための実験準備は概ね完了している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 図書 (2件)

  • [図書] Rではじめるシングルケースデザイン2021

    • 著者名/発表者名
      藤巻峻・山田剛史
    • 総ページ数
      230
    • 出版者
      ratik
  • [図書] B.F.スキナー重要論文集Ⅱ 行動の哲学と科学を樹てる2020

    • 著者名/発表者名
      B.F.スキナー、スキナー著作刊行会
    • 総ページ数
      308
    • 出版者
      勁草書房
    • ISBN
      4326251433

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公開日: 2022-12-28  

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