研究課題/領域番号 |
20J00963
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
白 凛 同志社大学, 社会学部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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キーワード | 在日朝鮮人 / 美術史 / 版画 / 朝鮮画 |
研究実績の概要 |
2021年2月に刊行した翻訳本『ピョンヤン・アート』(青土社、2021)について、数回のイベントを通して同書の内容をわかりやすく説明した他、「鄭鐘汝と在日朝鮮人美術教育との接点」(『コリアン・スタディーズ』9)に、自身の研究内容との接点をのべた論文を発表した(愛媛大学池貞姫教授との共著)。さらに、日本と朝鮮半島の美術交流について、「日本と朝鮮半島の友好を願う美術展覧会-第27回日本・コリア友好美術展2021/京都」(『韓国朝鮮の文化と社会』20)に整理した。京都における美術家たちの活動について、研究成果を発表した。 2021年4月に刊行した『在日朝鮮人美術史1945-1962』(明石書店、2021)について、4月(青丘文庫研究会)、6月(夜ネオの会)、11月(朝鮮大学校)、1月および3月(東京藝術大学)に、同書にかかわる講演をおこなった。同書の内容を伝えた他、継続しておこなった研究成果も盛り込むことが出来た。 また、これまでの研究および活動について、大韓民国から金復鎭美術理論賞をいただき、8月および10月に講演した(朝鮮語による発表)。 また、『美術運動』復刻版(三人社)に解題を執筆し、1950年代の日本美術の様相について在日朝鮮人美術史の視点から見解を述べることが出来た。 さらに3月、同志社大学寒梅館にて「在日朝鮮人美術史に見る美術教育者たちの足跡」と題した展覧会とシンポジウムを開催した。 総じて、単訳と単著の内容にもとづいた講演をおこない、質疑応答を通して、自身の知見をさらに深めることができた。またコロナ禍ではあったが、聞き取り調査と資料調査を継続させ、上記の展覧会を開催し、研究内容を広く一般に伝えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度2月に刊行した翻訳本『ピョンヤン・アート』(青土社、2021)について、講演を通して、わかりやすく一般に説明する機会を得た他、同書と自身の研究がどのようにつながっているのかについて、「鄭鐘汝と在日朝鮮人美術教育との接点」(『コリアン・スタディーズ』、9)にて具体的に論じた。 また、1990年代より見られた朝鮮半島と日本の美術交流については、「日本と朝鮮半島の友好を願う美術展覧会-第27回日本・コリア友好美術展2021/京都」(『韓国朝鮮の文化と社会』20)で論じた。 今年度4月に刊行した『在日朝鮮人美術史1945-1962』(明石書店、2021)については、数回の講演会の機会を得ることができ、また著者解題をART RESEARCH ONLINEウェブサイトに掲載していただいた。 さらに、大韓民国から金復鎭美術理論賞をいただき、8月および10月に講演することで、日本国内だけでなく、韓国にも研究の成果を発表することができた。 また、『美術運動』の復刻版に解題を執筆することで、1950年代の日本の美術活動について、在日朝鮮人美術史の視点を提供した。総じて「研究の目的」および「研究実施計画」に沿った研究をおこなうことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年2月に刊行した翻訳本『ピョンヤン・アート』(青土社、2021)について、原著者を招いて来日公演を開催する。原著者とは随時連絡が取れており、コロナの影響を考えながら開催時期を的確に設定していく予定である。 2021年4月に刊行した『在日朝鮮人美術史1945-1962』(明石書店、2021)については、韓国語版の刊行が決まっているため、作業を引き続きおこなっていく。また、今後も同書についての講演が見込まれるため、その際はできるだけ引き受けつ、自身の知見を広げる契機とするよう努める。 また、これまでの研究成果を踏まえて、朴民宜さん(1947年生まれ)と尹正淑さん(1946年生まれ)へのロングインタビューを実施する。お二人は『月刊イオ』で2019年に連載を担当した作家であり、かのじょたち在日朝鮮人2世の表現から、絵本と童話について考えたいと思っている。この調査にもとづいて、同志社大学で展覧会とイベントを開催する予定である。 さらに、2021年3月に開催した「在日朝鮮人美術史にみる美術教育者たちの足跡」展について、記録集を刊行する。登壇した4名の研究者の発表記録と、同展の中心人物である青山武美の教え子へのインタビューも掲載する予定であり、さらなる調査を続ける予定である。 海外へ資料収集に行く予定だが、コロナの状況を見ながら、適宜研究の方向性を見極めて、最大限に成果を発揮できるよう努める。
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