昨年度刊行した『在日朝鮮人美術史1945-1962』(明石書店)について、講演依頼を受け、研究内容をわかりやすく説明した。また、これも昨年度刊行した翻訳本『ピョンヤン・アート』(青土社)について、原著者の文凡綱先生を日本にお招きし、来日講演を開催した(6月3日。以下はすべて同志社大学で開催)。書籍の内容を多くの人と共有し、アメリカ合衆国から来日した著者と、研究者や学生、講演会参加者たちとの交流を深めた。東アジア美術を多角的に捉えた上記2冊を多くの人に紹介した また、これまでの調査および研究成果を踏まえて、展覧会とシンポジウム「朴民宜の絵と尹正淑の詩―絵と詩と在日コリアン2世の女性のライフヒストリー」を開催した(10月14日から6日間)。これまであまり注目をあびることのなかった在日朝鮮人女性の表現に注目し、同時に絵本や児童文学について、在日朝鮮人が制作したもの、在日朝鮮人に関するものを整理し、在日朝鮮人女性の表象について、「絵本」「児童文学」という側面からの分析が可能であるという、新たな視点を提示した。 さらに、昨年度3月に実施した展覧会とシンポジウム「在日朝鮮人美術史に見る美術教育者の足跡」の記録集を刊行した。本企画開催中に集まった情報、また開催後に知ることになった新たな情報をまとめ、これらを精査した上で掲載した。展覧会の概要説明(1本)、登壇者の発表原稿(4本)、インタビュー記録(5本)、関連資料の再録(9本)を収録した。 総じてこれまでの研究について、その成果を広く一般に共有することができた。
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