| 研究課題/領域番号 |
20J00986
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| 研究機関 | 東京工業大学 |
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研究代表者 |
稲垣 辰哉 東京工業大学, 生命理工学院, 特別研究員(PD)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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| キーワード | 腸内微生物 / シロアリ / 相利共生 / 社会性昆虫 / ヤマトシロアリ / 昆虫生態学 / 微生物生態学 |
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| 研究実績の概要 |
本研究の目的はシロアリと腸内原生生物群集の絶対共生関係において、垂直伝播の確実性を実現するメカニズムを明らかにすることである。シロアリの腸内には、宿主と相利共生関係にある原生生物が複数種生息し、それらは宿主の腸内特異的に生存していることが知られる。本年度においては次世代を担う羽アリを用いて、腸内原生生物群集がどれほど伝播されるかを明らかにするための実験を行った。
まず野外から採集した羽アリとワーカーの腸内原生生物群集の比較を行ったところ、羽アリではいくつかの種の原生生物が欠損していることが明らかになった。このことはシロアリが分散のする際に腸内微生物群集のボトルネックが起きていることを示している。次に羽アリを用いて、雌雄からなる巣を創設させた。羽アリは野外から採集した5コロニーのものを用い、全てのコロニー組み合わせからなるペアを作成した。この創設コロニーから羽アリ及びワーカーを取り出して腸内微生物群集を比較することで、オス親及びメス親が運んできた腸内微生物群集がどのように子に伝わるかが明らかとなる。だが創設コロニーのワーカーは成熟コロニーの個体よりも体サイズが小さく、腸内微生物量の少ないことが考えられた。そこでまずDNA抽出法を検討し、少量であってもPCR反応に十分な量を抽出できる系を立ち上げた。現在創設コロニーのサンプルについて解析を進めている。さらに羽アリで欠損した原生生物種をコロニー創設のプロセスで回復することができるかについても調べる予定である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はCOVID-19の影響で研究室での実験が著しく制限されており、当初行う予定であった、分散前の羽アリにおける原生生物群集の形成の解明には取り組むことができなかった。だが、羽アリとワーカーの比較及びコロニー創設実験に変更することで、腸内原生生物の垂直伝播プロセスを解明できる系を立ち上げた。創設コロニーの生存率も高く、十分なサンプルを回収することができた。
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| 今後の研究の推進方策 |
初年度に得られた創設コロニーの親子から取り出した腸サンプルの解析を進め、両親の腸内原生生物が子にどのように伝わっているかを明らかにする。また、初年度に行う予定であった、羽アリが巣から飛び立つ前にコロニーの腸内微生物群集がどのように伝播されているかを飼育実験により明らかにする予定である。
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