本研究は、複数人でのリズム維持課題における個人特性、参加者間相互作用、集団全体としての振る舞い、そしてパフォーマンスの評価の各階層間の関係について明らかにすることを目的としている。その中で2020年度は、参加者の個人特性を調べるための実験で用いるバーチャルパートナーシステムの開発に主に取り組んだ。 結果として、webブラウザ上で動作するVP実験アプリのプロトタイプまでは実装できた。ブラウザ上でビープ音を鳴らし、実験参加者がこれに同期しようとしてキーボードを叩くと、ビープ音とキープレスとのタイミング差に応じて次のビープ音が鳴るタイミングを微調整するというものである。しかし自身で何度か試す中で、設定したVPのタイミング修正パラメータから予想される理論的なタイミング調整量に比べて、実際に返ってくるタイミング調整量が大きく、システムの処理における時間遅延の影響が疑われた。遅延対策については現在検討中である。また、オンラインで計測を実施してもらうための教示を含むインターフェースについても検討する必要がある。 この他、我々の数理モデルに基づいたシステムの開発と並行して、別チームが類似したタイミング調節の数理モデルを発表していたため、バックアップとしてそちらにおけるパラメータ計算の方法を、これまでの研究や準備段階での計測データを元に確認した。その結果、そのモデルを用いた先行研究で報告されている値と比較してリーズナブルな値が得られることが確認できた。
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