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2021 年度 実績報告書

糸状菌 SSPs と栄養基質分解酵素の新奇相互作用モデルの構築への挑戦

研究課題

研究課題/領域番号 20J01300
研究機関京都大学

研究代表者

寺内 裕貴  京都大学, 地球環境学堂, 特別研究員(PD) (40915336)

研究期間 (年度) 2020-04-24 – 2023-03-31
キーワード低分子量分泌タンパク質(SSPs) / 栄養基質分解酵素 / 植物病原糸状菌 / 木材腐朽菌 / SSPs-酵素間相互作用 / セクレトーム解析 / トランスクリプトーム解析 / 産業菌
研究実績の概要

糸状菌は、宿主や栄養基質に侵襲する際、多種類のSSPsを分泌するが、その機能はほとんど明らかになっていない。また、糸状菌がSSPsと同時に分泌する栄養基質分解酵素とSSPsの関係性も、ハイドロフォビンRolA-クチナーゼ系やハイドロフォビンと類似した固体吸着能を示すHsbA-クチナーゼを除いてほとんど知られていない。RolA-クチナーゼ系のような相互作用は限定的な環境で見出されたため、同様の現象が他のSSPsと栄養基質分解酵素間に見出されるかは不明である。様々な基質を用いて麹菌を培養し、セクレトーム解析を行った。その結果、Xylan を単一炭素源として麹菌を培養した際、Xylan特異的なSSPsを同定した。これらのSSPsについて発現解析を行った結果、Xylan培養において発現に有意な差が生じた。SSPsの破壊株を作製し表現型解析を行った。その結果、破壊株のXylan分解能については有意差が見出せなかった。ハイドロフォビン破壊株については、分生子の色や静止接触角に変化があった。現在、麹菌SSPs過剰発現株からSSPsを精製し、相互作用解析やXylan分解の解析を行う予定である。いくつかのSSPsについては精製が完了している。また、見出したSSPsのうち、ハイドロフォビンについて精製を行い、自己組織化形成能などを解析している。他の糸状菌(トウモロコシごま葉枯病菌、灰色カビ病菌、ヒラタケ)に関しても同定された基質特異的なSSPsについて破壊株の表現型などを解析中である。これらのSSPsに関しても、生産株を作製し、タンパク質精製を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

様々な基質を用いて麹菌を培養し、セクレトーム解析を行った。その結果、Xylan を単一炭素源として麹菌を培養した際、Xylan特異的なSSPsを同定した。これらのSSPsについて発現解析を行った結果、Xylan培養において発現に有意な差が生じた。SSPsの破壊株を作製し表現型解析を行った。その結果、破壊株のXylan分解能については有意差が見出せなかった。ハイドロフォビン破壊株については、分生子の色や静止接触角に変化があった。現在、麹菌SSPs過剰発現株からSSPsを精製し、相互作用解析やXylan分解の解析を行う予定である。いくつかのSSPsについては精製が完了している。また、見出したSSPsのうち、ハイドロフォビンについて精製を行い、自己組織化形成能などを解析している。他の糸状菌(トウモロコシごま葉枯病菌、灰色カビ病菌、ヒラタケ)に関しても同定された基質特異的なSSPsについて破壊株の表現型などを解析中である。これらのSSPsに関しても、生産株を作製し、タンパク質精製を行う予定である。概ね研究計画と同様の進捗状況である。

今後の研究の推進方策

今後、麹菌のSSPsについては、Xylan分解におけるSSPs-酵素間の相互作用が確認でき次第、論文にまとめ発表する予定である。他の菌においても、SSPs-酵素間の相互作用の解析を行い、確認でき次第論文にまとめる予定である。もし相互作用が確認できない場合は、今回麹菌のセクレトーム解析で見出した新しいハイドロフォビンを精製し、その界面化学的な性質の解析や生物化学的な解析を行い論文にまとめる予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件)

  • [雑誌論文] Adsorption Kinetics and Self-Assembled Structures of Aspergillus oryzae Hydrophobin RolA on Hydrophobic and Charged Solid Surfaces2022

    • 著者名/発表者名
      Terauchi Yuki、Nagayama Megumi、Tanaka Takumi、Tanabe Hiroki、Yoshimi Akira、Nanatani Kei、Yabu Hiroshi、Arita Toshihiko、Higuchi Takeshi、Kameda Tomoshi、Abe Keietsu
    • 雑誌名

      Applied and Environmental Microbiology

      巻: 88 ページ: e02087-21

    • DOI

      10.1128/AEM.02087-21

    • 査読あり
  • [学会発表] Bipolaris maydis における色素呈色ならびに薬剤耐性に関わる転写因子 RPR1 の発現制御に関与する因子の探索2022

    • 著者名/発表者名
      藤林 悠希、二神 加奈恵、竹山 さわな、辻 健也、寺内 裕貴、陳 帯テイ、吉見 啓、田中 千尋
    • 学会等名
      2022年3月7-9日、日本農薬学会第47回大会、オンライン開催
  • [学会発表] 麹菌 Aspergillus oryzae 由来ハイドロフォビン RolA の Langmuir 膜に特異的に吸着したポリエステラーゼ CutL1 の可視化方法の構築2022

    • 著者名/発表者名
      齋藤 有美、寺内 裕貴、吉見 啓、田中 拓未・石崎 裕也、三ツ石 方也、藪 浩、阿部 敬悦
    • 学会等名
      農芸化学会2022年度大会、2022年3月15-18日、オンライン開催
  • [学会発表] 麹菌由来界面活性タンパク質hydrophobin RolA の微細な表面構造観察2022

    • 著者名/発表者名
      高橋 尚央、寺内 裕貴、田中 拓末、吉見 啓、石崎 裕也、三ツ石 方也、藪浩、阿部 敬悦
    • 学会等名
      農芸化学会2022年度大会、2022年3月15-18日、オンライン開催
  • [学会発表] 黄麹菌Aspergillus oryzaeのXylan特異的なSSPsの同定と破壊株の表現型解析2021

    • 著者名/発表者名
      寺内 裕貴、田中 千尋、本田 与一、河内 護之、吉見 啓
    • 学会等名
      日本菌学会第65回大会、2021年8月23-29日、オンライン開催
  • [学会発表] 麹菌界面活性タンパク質ハイドロフォビン RolA の Langmuir膜に対し特異的に吸着したポリエステラーゼ CutL1 の可視化方法構築2021

    • 著者名/発表者名
      齋藤 有美、寺内 裕貴、吉見 啓、田中 拓未・石崎 裕也、三ツ石 方也、藪 浩、阿部 敬悦
    • 学会等名
      第73回日本生物工学会大会、2021年10月27-29日、オンライン開催
  • [学会発表] Langmuir-Blodgett法を用いた麹菌由来界面活性タンパク質Hydrophobin RolAの自己組織化機構に関する解析2021

    • 著者名/発表者名
      井田 大輝、齋藤 有美、寺内 裕貴、田中 拓末、吉見 啓、石崎 裕也、三ツ石 方也、藪浩、阿部 敬悦
    • 学会等名
      第72回コロイドおよび界面化学討論会、2021年9月15-21日、オンライン開催
  • [学会発表] 麹菌ハイドロフォビンRolAのLangmuir膜に特異的に吸着したポリエステラーゼCutL1の可視化方法構築2021

    • 著者名/発表者名
      齋藤 有美、寺内 裕貴、吉見 啓、田中 拓未・石崎 裕也、三ツ石 方也、藪 浩、阿部 敬悦
    • 学会等名
      第20回糸状菌分子生物学コンファレンス、2021年11月11-12日、オンライン開催
  • [学会発表] 麹菌由来界面活性タンパク質HydrophobinRolAの自己組織化メカニズム解析2021

    • 著者名/発表者名
      井田 大輝、齋藤 有美、寺内 裕貴、田中 拓末、吉見 啓、石崎 裕也、三ツ石 方也、藪浩、阿部 敬悦
    • 学会等名
      第20回糸状菌分子生物学コンファレンス、2021年11月11-12日、オンライン開催
  • [学会発表] 麹菌由来界面活性タンパク質 hydrophobin RolAの自己組織化膜の微細な表面構造解析2021

    • 著者名/発表者名
      高橋 尚央、寺内 裕貴、田中 拓末、吉見 啓、石崎 裕也、三ツ石 方也、藪浩、阿部 敬悦
    • 学会等名
      第20回糸状菌分子生物学コンファレンス、2021年11月11-12日、オンライン開催

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公開日: 2022-12-28  

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